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自然木の梁

写真は、先日の構造現場実測でのもの。
昭和30年代建築のものと言うことでしたが、
梁には、ごらんのような自然木を表面だけすこし削ったような
木材が使われていました。
ほかの材料、柱や床板などには製材加工された材料が使われていたのですが、
この梁だけは、どう考えてもこの周辺から切り出した木材。
製材された材料は、規格に沿った寸法であり、
それを加工して構造を作っていくのはまぁ、単純作業。
ところが、こういう自然木を扱うとなると、
その納め方を相当考えていかなければならない。
乾燥の状態も、自分の目で判断していく必要がある。
大体が建て主が自分で切り出して、天日乾燥しておくのだろうけれど、
部材によっては何年もかけて乾燥させる必要がある。
そうして乾燥させても、こうやって梁材として使うと、
そこからいろいろな変形を見せてくる。
その変形ぶりを、あらかじめ想定し、その変形が構造強度を高める方向に
変化するような工夫していくのが、大工の目利きになるのでしょう。
こういう部分になってくると、マニュアル化のしようがない部分になっていく。
それでも昔からの技術はそういう相伝的な形で継承されてきた。
しかし現代で、こういう自然木を扱うような大工教育を行うのは難しい。
そもそも現場がない。
教育って、ようするにそういった工事が発生してこない現実がある。
現場がなくなれば、大工とはいっても、腕の振るいようも経験の蓄積もあり得ない。
どんどん鈍磨していっている部分なのだと思います。
このような古民家の解体再生というようなことを手がけてきている
武部建設のような動きが、少しでもこういう機会を生み出してきているのですね。
組み方とか、細部の納め方から、見て、それを再生することで
おのずと大工の技量は育っていく。
可能な限りそういう思いを持っている施主さんを生み出していく努力が必要なのですね。
考えてみると、この国のシステムって、
こういう技術の部分に限らず、
さまざまな領域で、継承が難しくなってきていると思います。
段々と、そういう部分に目が行ってしまうようになってきました。

きのうは、同じような時期からブログを書き続けている
FAS工法の福地社長の来訪を受けました。
まことに人間味あふれるお話を聞いていて、
歳の取り方にも、深く教えていただく部分を感じていた次第です。

北のくらしデザインセンター
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