北海道各地に雪の便りが頻出するようになってきました。
感染症によるいびつな経済体制も丸2年近くの経過になって来た。
日本だけは感染状況が改善しているように見られるけれど、
世界的には先進国で感染症が猖獗を極め,同時に石油の高騰、資源価格上昇は
非常に厳しい状況を起してしまっている。経済復元への困難要因。
同時並行的にSDGsなどの言葉を見かけない日はないほどで、
いわゆる自然エネルギー翼賛、地球温暖化防止的なアナウンスは加速している。
全経済活動の脱炭素化という掛け声も大きくなって来ています。
・・・そういった理念・方向性自体は間違っていないだろうとは思います。
住宅で言えば、エネルギー削減できる断熱化は日本全国で大いに進めるべきでしょう。
しかし暮らしのエネルギー全体を考えると、石油価格の高騰は東京・大阪といった
公共交通機関主体の移動手段地域では大きな問題ではないのかも知れないけれど、
それ以外の「地方の日本」では「生活の足」を直撃してきている。
行動抑制が強い状況とは言え、とくに面積の広い北海道などでは
クルマは暮らしの基本なので、移動コスト上昇は暮らしへの重大なマイナス条件。
160円を超えるようなガソリン価格は早晩、流通コストを直撃し
あらゆる価格の上昇要因としてのしかかってくることは疑いない。
住宅・暮らしを考えるのが基本事業領域のわが社ですが、
とくに寒冷地域では住宅を考え暮らしを考えるとクルマも同時にワンセット。
今後の住宅エネルギー問題で、住宅内部の暖冷房と移動交通のエネルギーにも
強い関心が払われざるを得ない。
住宅業界で言えば屋根にPVを乗せ、蓄電池を装備し普段は同時にEVに充電させる、
っていうような住宅エネの近未来図が想定されている。
太陽光発電のパネル生産は日本国内産業にはほとんどメリットがなく
世界的には独占的に中国が支配するマーケット構造。
そのことを考えると「自然エネルギー」として太陽光だけを翼賛するのがいいのか、
複雑な気分になってしまいます。しかしこれはやむを得ないのか・・・。
しかしPVでの発電は北海道の冬場には事実上、ほとんど期待できない。
それが「地球環境に適した具体的なSDGs」といった情報刷り込みがされている。
当然のようにクルマはEV化の方向性が主流になっていくのでしょうが、
寒冷地での移動手段選択として考えると冬場には「暖気」運転が不可欠。
マイナス10数度の気温の朝にEV自動車をスタートさせると
どうしても車内室温上昇・身体を動かせる必要温度にさせるには
バッテリー充電の相当部分を消費してしまう現実がある。
EVに限らず電気を熱エネルギーに変換するとあっという間に充電レベル低下する。
200km走行できる充電が、あっという間に100kmを下回ることになる。
昨年の北陸豪雪時、EVが寒さに耐えられず路上放棄された事実もある。
これでは経済活動の効率性が著しく阻害される。
こうした世界の自動車産業の趨勢は温暖地・蒸暑地域主体の効率「最適化」で
寒冷地を見捨てるというか、ほぼ無視されていると感じられる。
掛け声で促されてもEVを選択する動機が北国では見えにくい。
北海道では冬場に経済活動で大きなハンディキャップが生じてしまう。
知人の国会議員さんにこういった問題で論議することがあるけれど、
EVが北国で現実的でないことは小泉前環境大臣はじめ国会論議でも共通認識だと。
で、中央の発想からは、寒冷地の現実無視発想しか見えないのが現実。
また知人にガソリンスタンド経営者がいるけれど、
当然のように人口減少もあって各地域のスタンドは閉鎖してきている。
代替するとされるEVステーションはコストメリット計算で難しいという。
そもそも北国ユーザーはEVの暖気運転ハンデを受け入れるかどうか不明。
人口減少地域ではこういう面でも経済活動が極端に窒息していく。
北に人が住む、という基本インフラが困難に直面しているのではないか。
これはわたしだけの悲観論なのでしょうか?
English version⬇
[Hokkaido, cold regions and EV cars, energy problems …]
Snow news has come to appear frequently in various parts of Hokkaido.
The distorted economic system due to infectious diseases has been around for almost two years.
Only in Japan, the infection situation seems to be improving,
Infectious diseases are extremely severe in developed countries worldwide, and at the same time, soaring oil prices and rising resource prices
It has caused a very difficult situation. Difficult factors for economic recovery.
There are no days when I don’t see words such as SDGs at the same time.
So-called renewable energy praise and global warming prevention announcements are accelerating.
There is a growing call for decarbonization of all economic activities.
For each company, there is also an appeal battle such as “Our company is an excellent company of SDGs”.
… I don’t think that the idea and direction itself is wrong.
Speaking of housing, heat insulation that can reduce energy should be greatly promoted all over Japan.
However, considering the energy of living as a whole, soaring oil prices are such as Tokyo and Osaka.
It may not be a big problem in the transportation area mainly by public transportation,
In other “local Japan”, it has hit the “foot of life” directly.
Although behavioral restraint is strong, especially in Hokkaido, which has a large area,
Since cars are the basis of living, rising travel costs are a serious negative condition for living.
Gasoline prices exceeding 160 yen will hit distribution costs sooner or later.
There is no doubt that it will be a factor in raising prices.
Our company’s basic business area is to think about housing and living, but
Especially in cold regions, if you think about housing and living, you can also have a car at the same time.
Due to future housing energy issues, it will also be used for heating and cooling inside houses and energy for mobile transportation.
There is no choice but to pay strong attention.
Speaking of the housing industry, PV is placed on the roof, equipped with a storage battery, and usually the EV is charged at the same time.
A near-future map of residential energy is envisioned.
Panel production of photovoltaic power generation has little merit for Japanese domestic industry
A market structure that is dominated by China exclusively in the world.
Considering that, is it better to praise only sunlight as “natural energy”?
It makes me feel complicated. But is this unavoidable?
However, power generation by PV can hardly be expected in winter in Hokkaido.
Information such as “concrete SDGs suitable for the global environment” is imprinted on it.
As a matter of course, the direction of EV conversion will become the mainstream for cars, but
Considering it as a means of transportation in cold regions, “warm-up” operation is indispensable in winter.
If you start an EV car on the morning with a temperature of -10 degrees Celsius
To raise the room temperature inside the car and bring it to the required temperature to move the body
The reality is that it consumes a significant portion of the battery charge.
Not limited to EV, when electricity is converted into heat energy, the charging level drops in a blink of an eye.
The charge that can run 200km will be less than 100km in no time.
There is also the fact that EV was abandoned on the road in a blink of an eye during the heavy snowfall in Hokuriku last year.
This significantly impairs the efficiency of economic activity.
The trend of the global automobile industry is to “optimize” the efficiency mainly in warm and hot regions.
It seems that the cold regions are abandoned or almost ignored.
Therefore, it is difficult to see the motivation to select EV in northern countries even if prompted by a shout.
In Hokkaido, economic activities cause a big handicap in winter.
I sometimes discuss these issues with my acquaintance, a member of parliament.
It is said that the fact that EV is not realistic in northern countries is a common recognition in the Diet discussions including former Minister of the Environment Koizumi.
So, from the central idea, the reality is that you can only see the idea of ignoring the reality of cold regions.
Also, my acquaintance has a gas station owner,
As a matter of course, the stands in each area are closing due to the declining population.
It is said that the EV station, which is said to be an alternative, is difficult to calculate the cost merit.
In the first place, it is unclear whether northern users will accept the EV warm-up driving handicap.
In areas with a declining population, economic activity will be extremely suffocated in this respect as well.
The basic infrastructure of people living in the north may be facing difficulties.
Is this my only pessimism?
Posted on 11月 27th, 2021 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 日本社会・文化研究
[…] どうもEVにとって決定的な一撃のような気がする。 あのAppleが自動運転車・EV開発から撤退する決定をしたと欧米メディアが相次いで発表している。BBCニュース2024年2月28日より。<写真はスクショ> 〜米アップルが電気自動車(EV)開発から撤退したもようだ。米メディアが27日関係筋の話として伝えた。アップルのEV開発への参入は10年ほど前に話題になったが、同社はこれまで正式に認めたことはない。開発プロジェクトには2000人ほどが関わっていたとされている。ブルームバーグ通信によると、その多くは今後、社内の人工知能(AI)部門に移るという。BBCはアップルにコメントを求めているが、現時点で回答はない。〜 北海道のような寒冷地では冬場に、場合によっては命にも関わるようなリスクのあるEVという移動交通の選択肢はあり得ないと思ってきた。2021年11/27には、【北海道・寒冷地とEV自動車、エネルギー問題・・・】というブログ記事もアップしたことがあります。 クルマという移動交通手段については、それこそわたしの人生時間のほぼすべてで関与せざるを得なかった。ほんの一時期公共交通手段が猛烈に発展している東京生活時期を除いて。モータリゼーション革命の時代にもろに遭遇した世代なのでしょう。高齢になっても、この「移動の自由」だけは基本的人権にも関わっているレベルの事柄だと思って生きてきた。 その自由の領域での地殻変動的な出来事として、EVという選択肢について注目してきていた。寒冷地人間としては、人口多数派の温暖地域が選択する工業進化の方向性について、市場原理の趨勢に対してその合理性には留意しなければならない。市場がある方向を向くのであれば、その社会的決定には従わざるを得ないのが現実。 そういう市場動向観察で表題のApple社は一種の「風見鶏」のような存在。たしかに「自動運転」という果実が現実化するのであれば、充電インフラを含めて対応せざるを得ないとも考えていた部分があった。そのAppleがそれまでの開発投資を「損切り」するというに等しい決定。 もうひとつの人生時間要素として、パソコン文化という文化革命も経験してきて、企業としてのApple社には強い「同時代性」も感じている。仕事環境はほぼ同社製品主体の生活。・・・まぁ同社のジグザグぶりに翻弄されていた側面もあるけれど(笑)。 今回の報道でわたし自身はまったく吹っ切れて、一択決定した。 そういうなか、札幌の街をクルマで走っていて「BYD」という店舗看板を発見。すごい、北海道で挑戦するんだと驚愕していた。日本の寒冷地で市場性はあると考えているのだろうか? […]