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既存不適格

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小樽の市内にいまも、こんな建物が残されています。
写真は、たぶん、推定するに店舗建築だった建物。
50年以上は経っているように思いますが、木造で3階建て。
もちろん、現状では「既存不適格」な建物と言うことになるでしょう。
建築当時は、なんとか、決まりをクリアしている建物だったのかも知れませんが、
いまとなっては、まったく規則から逸脱している。
で、「歴史的建造物」とまではならない。
しかし、それが存在するだけで、街の記憶につながっているような建物。
案外、こういう建築って、古い町には多く残っています。
こういう建物って、
デザインって言うことでは、面白い味を出してもいる。
中折れ屋根(マンサード)と、正面外観がなかなか調和しています。
商業店舗としては、まぁ、目立ったのでしょうか。
小樽という街は、いまではすっかり観光都市になっていますが、
札幌が発展する前には、その母体となってくれた街。
本州地域との船による物資の輸送、移民船の受け入れ港などの
北海道開拓期のもっとも重要な都市だったのです。
活発な商業資本の蓄積が見られ、
その後、この街で貯えられた資金がほかの北海道地域の開拓の元手になっていった。
そういう時代を記憶にとどめるような装置群が
運河沿いの石造倉庫たちであり、
「北のウォール街」といわれた目抜き通りの様子なんですね。
そういうなかに、まるで時代の記憶そのままにピンナップしているような建物。
建築の基準というのは、どんどん変わっていきます。
ことしの秋には、瑕疵担保法が施行され、
建築事業者は、保険加入が義務づけられるようになります。
しかし、制度は順調にいくものとは限らない。
とくに近年の国交省の打ち出すさまざまな制度は、
どうも、業界構造を必ずしも良くする方向に行っているとは思えないものも多い。
どんどん、「既存不適格」物件が増えていくだけで、
ほんとうに豊かな住宅建築・街並みが形成されてきているのか、
疑問に感じざるを得ないことも多いようです。
北のくらしデザインセンター
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