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鏡面のように仕上げる床

きのうまでは東京。
で、今週土曜日には仙台メディアテークで
仙台の建築家グループSAU+のイベントがありまして、
そちらで「震災後の住まいについて考える」というディスカッションがあり、
わたしが、コーディネーターを依頼されています。
6月23日午後3時からであります。
あんまり時間もないので、札幌には戻らず、
東京〜仙台と今週はずっと旅の空の下におります。

写真は、先日の「メムメドウズ」の馬小屋をリフォームした
建物の内観写真であります。
建築家・隈研吾さんの手になるリフォームなわけですが、
同行した北海道内の建築専門家のみなさんからは一様に
床の仕上げについて、
「こういうの、内地のひとの感覚なんだよなぁ」
という声が出ておりまして、
あれ、そんなことってあるのかなぁと考えさせられた次第なのであります。
この建物は馬小屋の建物の再利用で、1階には宿泊用の寝室スペースがあり、
この写真は、その2階の会議などに利用できる場所。
改造とは言え、内装はほぼ新しい材料で作られています。
で、床には光沢感のある表面塗装が仕上げとして採用されている。
たしかに北海道の「自然派」といえる作り手のみなさんは
ざらついた質感の床仕上げが多いとは言える。
こういう光沢感のある仕上げだと、どうしても工業的な
工場生産的な感覚が立ち上ってきて
雰囲気に似合わないのではないか、というようなご意見のようです。
しかし、ここは比較的に開口部が少ない構成になっていて
このような床の仕上げにすることで
入ってきた光がいろいろなバウンドを見せて、
室内を面白い陰影世界として映し出してくれる効果はある。
仕上げの塗料成分として、ピカピカにする材料を使うことはどうかと思うけれど
結果として得られるこういった効果には
やはり、わたしは同意できる部分があると思った次第。
日本の古い寺社建築などでは、
大屋根によって採光条件が厳しくて、
数少ない開口部からの光を室内に1次2次3次というように
複雑にバウンドさせるために、床を一生懸命に手入れする。
一休さんのような小僧さんは、和尚さんから
廊下の磨き上げを毎日やらされるのが、定番ドラマなわけですが、
あれって、やはり黒く光る鏡面のような日本建築の独特な床の効果を
わきまえていたから、ということなのではないかと思うのです。
特段の塗装材料のない時代から、
日本の建築文化は、こういった鏡面のような床の効果をずいぶん意図してきた。
京都の寺社では、こういう床に季節季節の庭園の色彩が映り込み
そういうなかから「花鳥風月」の日本的感受性が涵養された。
一休さん的床メンテナンスは、
このように考えられるのではないかと思っている次第です。
ただ、現代では新築していきなりこういう鏡面的な床が
化学的塗装材料で、簡単に出来上がってしまう。
まぁ、メンテナンスなんてやれるわけはないから、
そういう材料に頼りたくなるのは、わからないでもない。
とくにこの建築は非日常的建築〜レンタルでの利用を基本にしているので
やむを得ない選択なのかも知れませんね。

ということで、
なかなかに悩ましい問題であるなぁと思っていたところです。
やはりこうして写真に撮ると、いいなぁと思ってしまうのですが、
さて、みなさんどうお考えでしょうか?

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