写真は先日の旭川地域での住宅事例・芦野組さんの施工物件から。
今回の見学では、間取り的に対照的な事例が見られていた。
ひとつはこの家が典型的ですが、平屋で間取り的には個室数が少なく、
主要居室である居間・台所・食堂が大空間志向のタイプ。
注文住宅の最近の間取りの主要な傾向をそのまま表現している。
一方でモデルハウス的な住宅事例では、2階建てで
2階に個室群をたくさん配置してあるという従来型多数派。
まぁ、どちらかといえばファミリー層を想定した間取りということが鮮明ですね。
この2つの傾向が両極化という様相でいま、家づくりがあると感じます。
考えてみればいまの日本の「家族」のカタチが
そのまま間取り傾向を反映しているということでしょうね。
団塊ジュニア世代までの家づくりがほぼ終焉してきて、
戸建て注文住宅を依頼する層が2極化していることが、
こういう結果になってきているということでしょう。
9月発売のReplan北海道の特集も「平屋の間取り」特集ですが、
より特徴的な注文住宅の傾向として、表題のような志向が顕著。
平屋が大きな流れとして顕在化してきた7−8年前くらいから、
小家族化傾向が顕著になってきていた。
また、子どもが2人いたとしても、そのためにわざわざ個室を持たせることに
懐疑的な考え方が増えてきていると実感します。
それは高齢化とも関連していて、個室が必要な子育て期間は
たかだか10年程度であり、むしろ子育て後は使われない個室が
ただただ物置になっていくことに否定的なひとが増えてきた。
大体50代で子育て期間が終わり、高齢化で子育て後の人生が
そこから先、80-90才と伸びるようになり、
そういう20-30年の居住環境として、平屋環境の方がより永続的だと
考えられるようになって来たことが大きい。
そういった心理の背中を押すように、子育て期でも個室では勉強に集中できず、
むしろ「成績のいい子」にするにはリビングの一隅のような環境の方が適している
という社会的教育効果アナウンスが行き届き始めた。
(これが真実かどうか、都市伝説かも知れないけれど。)
こういう間取りはしかし、大手メーカーなどの大多数向け間取りとしての
「モデルハウス」的な作りようではメジャーにはなりえない。
一般的多数派対応のそれらではこれまで同様の「無難な間取り」として
個室群をそなえたモデルハウスが建てられる傾向にある。
建て売り的な作り方と、注文住宅的作り方の大きな傾向分化でしょうか。
こういう傾向は既存住宅流通でのニーズとウオンツの
ミスマッチ的なことにも繋がっていく可能性が高いですね。要注目。
Posted on 8月 27th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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