アース21旭川例会見学の住宅事例から、こちらは創樹さんの建てた家。
きのうは、人口減少期型の平屋・大空間・個室減タイプでした。
平成のニッポンでは女性の社会参加が促進され、たぶん、
専業主婦を強く意識した家づくりというのは、少なくなっているかもしれない。
いわゆる「奥さん」というコトバはどうも実態とそぐわなくなっている。
2016年の女性(15~64歳)の就業率は前年比1.4ポイント上昇の66.0%となり、
1968年の調査開始以来、過去最高を更新した。
その上、いわゆる地域偏差もあり、北海道のような地域では
この傾向はもっと強いかも知れないと実感しています。
とくに家を新築するという世代に関して言えば、
多数派がそういう「共働き」になっていることは想像に難くない。
「サザエさん」が視聴率的に苦戦が顕著になってきたことは、
いまの時代の現実の家庭の姿と乖離してきたということかも。
で、住宅の間取り的にも、省家事型の間取りが優勢ではないでしょうか?
そんななかで、いわゆる対極的な「家族関係保守」タイプもある。
むしろたいへん新鮮なものをそこに感じていた次第です。
こちらの家では、玄関が多目的的に広く取られている。
さらに2階の個室群に上がっていく階段がそこにいきなり設置されている。
2階は家族分の各個室が4つあって、個人主義的間取り。
しかし、この階段玄関(?)はスケルトンで家族の帰りを迎える
「母・主婦の視線の抜け」がしっかりと軸線になっている。
階段・玄関に面してスチール格子が装置され、そこにはガラスも嵌められていない。
その位置は「家事コーナー」になっていて、奥さまのパソコンなどもある。
たぶん普段の彼女の中心的「居場所」だと想像できる。
で、そこから奥に向かってキッチン・ダイニングが配置されている。
帰ってきた子どもさんやご主人は、そういう奥さんの目線で出迎えられて
まっすぐに「食の空間」に導かれていくようです。
この間には建具とかは一切ないので、たとえばその日の晩ごはんの
メイン料理がなんであるかもその匂いで伝わってくる仕掛け。
「ただいま〜、あ〜お腹空いた〜」
「おかえり〜」
「あ、きょうはカレーなんだね?」
みたいな会話が想像できる家族関係が「くらしデザイン」されている。
こういう家庭をしっかりと維持したいという意志をそこに感じます。
もちろんこういうライフデザインは、高断熱高気密で
家中が同じ温熱環境が自然に実現されているからこそ、でもあります。
久しぶりにこういう間取り設計の家を見たという感覚。
考えてみれば多数派2/3が「共働き」になったとしても、
現状でも1/3はこういったライフスタイルが維持されている家庭もある。
まことに多様性のある社会になって来ているということ。
こういう社会では、プロトタイプ的「中央値」志向は難しさが伴いますね。
Posted on 8月 28th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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