きのう13日の金曜日、午後から表題のセミナー出席。
前半はPHIUS(USパッシブハウス研究所)総会に出席されてきた
芝池英樹・京都工芸繊維大学大学院准教授の報告を聴講。
後半は今度はスウェーデンから来日した第1種換気のメーカー・RECの
ケネットさんとクラウスさんによる換気部材のお話しを聞きました。
本日は、前半部分のご紹介を。
芝池先生からは、いまや1000物件を超えるとされる
アメリカでのPHIUSでのパッシブハウスの実際が報告されました。
ドイツパッシブハウス基準では、その発祥地であるドイツの気候に
基準自体が最適化されていて、日本と同様に蒸暑気候が一般的である
アメリカでも、そのままでは断熱仕様が過剰にならざるを得ない。
そこで基準を2015年に見直して以降、飛躍的に実績が伸びているという。
そういった概要説明に続いて事例報告などが行われていました。
実際には、木造での多層階建築が「戸数」を稼いでいるし、
またアメリカらしく、戸数の多くなる「建て売り」物件が主体になっていた。
これらの場合、戸あたりの床面積に対して壁面積が小さくて済み、
その分、断熱コスト負担が小さくなるのが一般的。
日本のように、基本が注文戸建てという場合とは比較が難しいし、
日本では大量販売デベロッパーの断熱意識が低いという側面がある。
しかし紹介された「戸建て住宅」数例は、注文住宅のようでした。
質疑で、蒸暑の気候に適した基準であるということについて、
わたし自身もいくつか、質問させていただきました。以下がその内容。
芝池先生のお答えでは、両基準の違いとは
「ドイツは仕様基準であってアメリカは性能基準という印象」と言われていました。
「非常に精密な計算ツールがあるので、
ドイツ基準より一般的には断熱厚が薄く済むケースも多い」
「アメリカ基準側としては、ドイツ基準は過重になっていると言っている。
断熱投資にお金が掛かりすぎている。手の届く合理性のある価格ゾーンにと。」
北海道では旭川地区などで300mm断熱・UA値0.18レベルの住宅が
「よりあたたかい家」を目標にして普通に建っているが、そうした建物でも
ドイツ基準にはまったく歯が立たない現実がある。こうした住宅について
このPHIUS基準ではどうなるか、という質問については、
「北海道と同等の気候条件のシカゴなどでは一般的なコスト範囲で
この基準を満たす住宅例が多数建てられている」
とされていました。興味津々といったところです。
ドイツ基準では北海道では事実上、戸建てでの基準達成は難しいなかで、
そもそものこの基準対照の論議が本格化してほしいと思っています。
あしたは、もうひとつの「換気」についての異種言語・深層論議について報告します。
Posted on 10月 14th, 2017 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備
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