さてきのうの続きであります。表題のような深層論議に立ち至った。
第1部のPHIUS(アメリカパッシブハウス研究所)の視察見学報告に続いて
スウェーデン・REC換気システムについての講演。
この換気装置は日本の概念区分としては「第1種換気」ということになります。
吸気も排気も機械で制御しながら、計画換気を行っていく考え。
RECは、スウェーデンではじめての「パッシブハウス」で採用された換気システム。
こちらの「パッシブハウス」はドイツ基準に適合したもの。
この採用に当たっては、世界的に寒冷地建築研究の最先端と言われる
スウェーデンのルンド大学工学部で試験プロセスを経て選定された、
というように自社の紹介がされていました。
ちなみに、ルンド大学についてはWikipediaに以下の記事。
〜スウェーデン屈指の名門大学として知られ、QS World University Rankingsでは
2013年に67位(国内・北欧圏共に1位)にランクインされている。〜
北海道からも鎌田紀彦先生が客員研究員のような形で行かれたり、
その同期にはドイツパッシブハウスのファイスト先生も席を並べられていたそうです。
そういった実績のある第1種換気の部材であり紹介されていたのですが、
プレゼンの途中で「パッシブ換気」について、相互理解に齟齬が発生。
世界の基本的な潮流は、この第1種計画機械換気であり、日本でも
鎌田紀彦先生がこれがもっとも妥当性が高く、科学的と高く評価されているのですが、
一方で寒冷地である北海道では、いわば「計画自然換気」と言える、
「パッシブ換気」の研究とその実践がユニークに存在している。
概念としては、2枚目のイラストになります。
(これはパッシブ換気を推進する太平洋建業社HPからの引用。)〜
http://www.t-kengyo.com/passive/
唱道者は現在北海道科学大学教授の福島明氏。
冬期暖房によって内外温度差が明瞭なことを利用して、
暖まった空気は上昇する原理を活かし新鮮空気を床下空間にパッシブに導入しつつ、
空気の経路を明確化させて、建物上部から排気させるシステムです。
いろいろな評価はあるのですが、日本・北海道オリジナルなシステムとして
たくさんの事業者・設計者がチャレンジしている工法。
で、この目に見えにくいパッシブ換気についての論議に至ってしまった(笑)。
どうもこの換気方法について、スカスカ自然隙間換気と誤解されてしまい
論議がなかなか噛み合わない状態になってしまった。
北欧やヨーロッパでは、こうした換気方法へのチャレンジは行われていないようです。
たしかに新鮮空気の導入について換気量のコントロールが難しい側面がある。
空気経路の把握について経験が必要とも言われています。
しかし一方で、ほとんど機械動力を必要としないことから、
ある意味、究極的とも言われる考え方。
北海道ではこの方法にチャレンジして、体感的に空気の流れを把握できた、
というような発言も事業者・設計者から聞くことが多い。
最近では秋田能代の西方設計・西方里見さんも自邸で採用していますね。
しかし、先述のように欧米ではこうした概念自体が存在しないようです。
北大の菊田弘輝先生も参加されていましたので、
質疑応答では、かなり突っ込んだ専門的なやり取りが活発でした。
換気は目に見えにくい部分があるので、こうしたことがらについて、
異言語間での通訳を交えた応答というのは、かなり難しいと実感。
でも結果として相互の国際理解は一気に深まったし、面白かった(笑)。
わたしも少し論議にからんだので、事後、REC社のケネットさんとクラウスさんとは
ガッチリと握手して名刺交換し挨拶しました。ちょっと力強かった(笑)。
Posted on 10月 15th, 2017 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備
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