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【新住協北海道in帯広 「町家」的ZEHデザイン】


わたし自身、はじめてZEH住宅のデザインで納得できた。
ZEHの要件を満たしながら、なお、日本の住宅として
長く耐久性のあるデザインに、どうやったら昇華できるのか?
とくに北海道の気候条件の中で、それは可能か?
といった問いに、この十勝・幕別の岡本建設の住宅は応えていると思った。

きのうは新住協の北海道地区大会in帯広1日目の住宅見学会。
新住協北海道では必ず「住宅見学」がセットされる。参加は全国から100人超。
バスでの道々、隣り合わせた須藤ホーム・須藤副社長と話していたけれど、
そもそも新住協は鎌田紀彦先生が、
自らの高断熱高気密住宅の開発技術をあくまでもオープンに
誰でも利用できる技術として公開し続けることにこだわってきたことが、
そのベースにあるとされた。
そのように誰でもが利用できる技術として公開する以上、
いっしょに研究していく工務店組織に対しても、
技術を実践した住宅を仲間の工務店に対して大いに公開して
共同して開発していくことを大命題として突きつけたのだと。
地域であるいは競争者でもある工務店同士が、それでも
自ら獲得した技術をお互いに現場公開としてさらけ出しあいながら、
それを前提にしながらも、各社の独自のカラーを獲得していった。
そういった努力の積層が、北海道住宅の技術基盤ベースには存在する。
住宅見学の現場では、実に多様な意見交換がなされる。
人間が現場で作り上げていく製造業としての住宅建築では
そういったやりとりの中にこそ、貴重な技術情報が潜んでいる。

この岡本建設の住宅は、UA値0.23レベルの高断熱住宅で
NearlyZEH基準を満たす住宅。
ただし、補助金申請はしてはいないとされる住宅です。
同社では、すでに数多くのZEH住宅の取り組みが行われている。
そしてその多くで伝統的切り妻スタイルが取り入れられている。
この家は一部2階建てで、南面する居間部分が平屋の間取り。
この平屋部分に下屋のように傾斜屋根が下ろされている。
この屋根に6k相当のPV、太陽光発電が搭載される。
そして2階部分はこの傾斜屋根と角度をそろえて切り妻の屋根がかかる。
2階の立ち上がりの壁高は1階と比較して逓減されていて、
プロポーションとして、日本の伝統的「町家」の1.5階的なかたち。
南面に対して素直に長い形状とあわせて、
まことに合理的で、日本住宅らしい外観を獲得している。
ただし建築工法は2×6工法。下屋屋根に雪が乗っても、
2階開口から除雪メンテナンスも可能のように見える合理的デザイン。
PVが6kでNearlyZEH基準を満たすだけの外皮性能でありながら、
なお、デザインとして非常にシンプルでムリ・ムダを感じさせない。
久しぶりに清々しく「懐かしい」デザイン住宅に出会った気が致しました。

懇親会の席では、鎌田紀彦先生はじめ多くのみなさんに、
この住宅についての話題を振らせていただいていました。
ZEH住宅のデザインについて、論議の起点になってほしいと念願します。

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