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【寸法感覚を涵養してきた日本人の空間】

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写真は吉田五十八さんの設計された住宅の和室。
和室というのは、北海道ではいまや絶滅危惧種になってきていて
しっかりとした和の空間を見る機会が減ってきている。
たまに見ることもあってか、こういう空間がひどく新鮮に思えます。

規格寸法に沿ってそのまま柱と横架材が組み上げられる
その構造がそのまま正直に空間を区切っている。
端正な真四角なグリッドが表されてくる。
それは床の畳でも寸法に一体性があって、
空間がすべてタテとヨコの正直な軸線だけで形作られる。
日本の木造建築の規格寸法は、
厳密に作られず、素材の素性に左右されざるを得なかった時代から
しかし徐々に規格的なものに統一されていって、
この社会の中での技術基盤が整理されていったモノだと思います。
そしてこういった空間デザイン要素、寸法の感覚が
日本人の心象風景に秩序意識などを大いに涵養したのではないかと
そんなふうに思えてきます。
「枠にハマっている」とか「きっちりしている」というような
算数的な正直さを、日本人に意識させてきたのではないだろうか。
真壁と言われる、構造がそのまま意匠になっている工法は
その最たる表現だっただろうし、
内装でもとくに障子の桟などが果たしてきた深層心理的な影響って
日本人にはなつかしく決定的な心象形成だったのではと、
妄想ながら、いつもこういう気分が盛り上がります。

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上の写真はコンクリートブロックという
火山灰地が多い北海道の地域材ともいえる材料を使ったわが家壁面。
目地の寸法も入れて、40cm×20cmという規格寸法が連続している。
北海道でも木造構法は追求されてきたけれど、
それが高断熱高気密という結論に行き着く過程で
基本的には柱梁をあらわす真壁から、隠してしまう大壁に
工法が選択されるようになって、
つるっとしたボードとクロスの空間に置き換わってしまった。
それじぁ面白くないよなぁという深層心理が働いて
わたしに、こういう工法を選択させたものかも知れない。
ふと、そんな想念に浸ることがあります。

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