写真は、先週の東京出張の折に訪れた
住宅評論家・南雄三さんの「スケッチ展」の会場であります。
神楽坂というのは、地下鉄東西線で、飯田橋と早稲田・高田馬場の中間。
中沢新一さんの「アースダイバー」縄文期江戸地図によると
湾入してくる海に陸地が面しているような位置にある。
縄文の遺跡もあるようです。
わたしは、だんだん東京のなかの「地方性」発見が趣味化しています。
もともと東京に住んでいたことがあるのもありますが、
まことに現代的な資本主義文明が覆い尽くしているなかに
「風土性・地方性」がそこここに顔を出しているのが、面白く感じる。
本来の「地方」、わたしが住んでいる北海道、札幌は地方ではありますが、
地価や賃料レベルがあまりにも低いので
むしろ開発と大資本主義の勝手気ままな展開が顕著で
本当に鄙である住民たちも、むしろそういう「どこにでもある」共通文化性に
強く憧れる心理の方が強くなってしまう。
江戸期に、気候風土が温暖地日本とはまったく違う会津において
それでも小堀遠州流の大名庭園が造営され
華奢な建築が雪の重みに耐えきれず、
江戸期を通じて何十回と再建築され続けた、という事例がありますが、
そういった「都と同一化したい」願望の方が日本の「地方」には多い。
もと「都」である関西・京都、あるいはその周縁地域は別にして、
こういった風潮にあるのが、日本の地方の実態だと思う次第。
そういうなかで、むしろ東京の中では、
それぞれの「地方」というか「地域・街」が、本来の「地方性」を維持している。
たしかに交通移動の過程で見られる表面的な部分は
「どこにでもある」側面が強いけれど、
そのちょっと周辺部には、底堅い伝統的価値観が存在している。
そういった部分を発見するのが面白くなっているのですね。
わたしは中沢新一さんの「アースダイバー」は最近知って読み始めたのですが
ちょっと違うけど、よく似た気分を持った著作だとびっくりしている。
で、神楽坂であります。
東京に居たときには、まぁ1度か2度、通りかかったくらいですが、
たぶん、料理屋さんで会食した記憶があるくらいですが
今回、南さんのスケッチ展と言うことで
街を感じさせていただけた次第であります。
なんといっても、会場の古い家がいい。
さすが南さんらしい選択であります。
でもまぁよくこういう古民家、昭和初期だそうですが
残っているものであります。
北海道では見掛けることもない樹木が、バランスよく縁取って
瓦屋根、真壁・塗り壁仕上げの外観を彩っている。
絵の素晴らしさも格別でしたが、
この雰囲気の素晴らしさにしばし、感嘆させられておりました。
たたずまいが、素晴らしいですね。
「神楽坂」という地名が、すんなりとカラダに入ってくる気がしてきます。
Posted on 5月 19th, 2014 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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