写真は一昨日見てきた大崎市の家の照明。
和室の仕上げの様子なのですが、
蛍光管が天井の柾目板の間に埋め込まれ、
壁面にやわらかい反射光を落としている様子を納めてみました。
写真では表現し切れているかどうか不安ですが、
この壁紙も45度の角度で格子縞模様のものが使われているので、
この反射光角度とおおむねシンクロしていて、
ほとんど意識下の部分で、シャープさが仕込まれていると感じられます。
一般的にはなかなか気付きにくく、
お住まいの施主さんもそういったことには気付かれてはいませんでしたが、
「なんとなく、落ち着く」という生活実感は持って暮らされている。
蛍光管も電球色のタイプが使われていて
目にやわらかい印象のデザインが心掛けられている。
壁紙の色調も、そのような色調に似合うように同系色とされていて
ほんの少しのグラデーション範囲にまとめられているので
全体として、シャープさと調和感が同居している。
和風としてまとめる、というような
そういった施主さんの要望自体、
北海道ではあんまり出てこなくなっているのですが、
たとえあったとしても、細やかなデザインになっていく部分なので
ディテールまでの心がけが必要になってくる。
しかも、通常あんまり気付かないような部分での違いが大きい。
形だけ持ち込んでも、「調和感」というものが達成されない。
なんとなくそんな印象を持って住宅を拝見していました。
人間がそこで過ごしていく時間がもっとも長いのが住宅だとすると、
そういった空間の空間デザインについて
お互いに共通するような言語フレーズが必要だと思うのですが、
なかなか気付きにくい部分ではあります。
やはり「なんとなくいいなぁ」というようなあいまいな領域になってしまう。
しかし、毎日の暮らしに背筋が通っていくかどうかは、
こういう環境要因が与って大きな部分を占めているのも事実。
見ていると、たとえば床の間の床板の下に、
若干の隙間を開けてあって、正面から見ると床板が浮き上がっているように
印象されるような仕上げになっていたりする。
まことに細やかなデザインなんですが、
建築的には、合理性との両立が難しい領域。
設計者としては、いろいろな職人さんに正しくイメージを伝えていくのが
非常に困難な部分もあるだろうなと推測させられる。
しかし、細部にこそ神が宿る、とも言う。
家を建てる、という人間社会でのいちばん普遍的な「創造機会」に
少しでも「いい空間」を心がけていくのは必要ですね。
「生活文化」という言葉を使うけれど、
そういうことは、こういった細かい部分にこそ顕れるものだと思います。
Posted on 1月 12th, 2013 by replanmin
Filed under: 住宅取材&ウラ話