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縄文人研究講演〜瀬川拓郎さん

きのうは、午後3時から
札幌の紀伊國屋書店1階のイベントスペースで
「縄文人はどこへいったのか」と題したセミナーが開かれ
考古学研究者の旭川市博物館主幹研究員・瀬川拓郎さんの講演がありました。
素人の歴史好きのわたしが私淑する方でして、
きのうも縦横無尽に古代の北海道島の人間史に光を当てて
生き生きとした人間社会の素描を魅せてくれていました。
アイヌ社会への視線は、たとえば倉本聰さんの見方が代表的でしょう。
そこでは現代社会への警鐘の意味合いを強く押し出して
文明批判のための知恵として、アイヌ社会の自然共生の思想が語られます。
そのことに半分は同意するのですが、
しかし一方で、北海道島に生き続けてきた人間がみな、
敬虔に自然に生かされている、と考え続けてきたかどうかについては、
やや同意できない部分もあり、
そういった部分について、明解に人間くさく説かれる瀬川さんの意見に
深く同意するのです。
たぶん、アイヌ社会への贖罪意識の強い日本人としての部分と
実証的な歴史・考古研究者の視線の違いなのでしょうね。

きのうも、日本書紀に書かれた阿倍比羅夫の出兵について
さまざまな実証を通しての、考古というよりも人文に近い認識世界が
開示されていました。
そのこと自体は、これまでも瀬川さんの著作で述べられていることなのですが、
あらためて、肉声で聞かせていただくと
行間の意味合いも明瞭に伝わってくる部分があり、
こちらの人間ドラマ想像力がいたく刺激されてきます。
ほとんど文字記録が残っていない北海道島のひとびとの生き様が
戦争的な、あるいは政治的な対立軸も含めて想起されてきます。
交易、ということが、
言葉を厳密に言えば、経済ということが
人間社会の分析の最大の断面であることをイメージ豊かに見せてくれる。
自然への信仰も、その経済的成り立ちへのひとつのプラグマティズムであることが
生き生きと了解されてくるのですね。
興味深いお話しは随所にあって、1時間半、時間が少なくて
聞きたいことが山ほどあったのですが
刺激に満ちたお話しを聞かせていただきました次第です。
ありがとうございました。

なんですが、最近瀬川さん、ブログ更新されず、
しかも削除までされている。なにがあったのかと心配になる。
「先生、書いてくださいよ」
とお願いしておきました。
なんでも、炎上したとか、トラブルがあったとかではないそうです。
まぁ、そういうことならいいのですが・・・。
また今後の展開が非常に興味のある方の講演でした。

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