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日本の「右傾化」について

ワシントンポスト紙が
尖閣問題などを契機として、日本が右傾化傾向を示し始めたという記事を
1面トップで掲載したというニュースが流れている。
どこの国にも、隣国との関係において
「領土問題」は多かれ少なかれ存在するだろうと思う。
身近な例でいえば、北海道に隣接する北方領土には
第2次世界大戦終結時のドサクサに紛れてロシアが侵攻し、
あわよくば北海道まで占拠しようとしていたこともあったといわれる。
もしそうなっていたら、北海道に住む私たちがどうなっていたか、
わたし自身も生まれていたかどうか、わからない。
そして、敗戦国としての国際的な取り扱いのなかにあっても、
主張としては、北方領土返還要求を世界に対して日本は主張し続けている。
ただし、戦争的なかたちでの国際紛争の解決手段を自制させられた
憲法の条文規定もあって、ひたすら平和的な手段に限定して主張している。
そうした流れで、日本の戦後体制は存続してきた。
基底的にはアメリカの属邦的な扱いに慣れ、
そのことを基本的なアイデンティティとしてやってきたのがいまの日本国家。
尖閣の問題や、竹島の問題は、韓国や中国にとっては、
主に、彼ら国家の内政的な必要性に発して問題が顕在化してきているにすぎない。
端的に言って、どちらも無人の領土であるこれらの島々の帰属がどうなっても
現状の日本人の生活が大きく変化せざるを得ない問題とは言えない。
そう書けば過ぎる部分もあるけれど、いまの北方領土に似ているとも言える。
あくまでも冷静に対応すべき問題だろうと思う。

しかし一方で、
アメリカがどのようにこの問題を見ているのか、ということについては
日本は敏感になるべきだと思う。
日中関係がきわどい地点に行くことが、アメリカにとって
好都合であるのかどうかについて、探らなければならない。
ひょっとすると、このことへの対応の結果として、
アメリカからの相対的自立化という日本の変化をもたらすかもしれない。
中国がその人口規模から見て、また経済のサイズから見て
世界にとって重要国家であることは明白だけれど、
海洋面積を含めた日本のプレゼンスは、
現状の中国にとっても、また世界全体にとっても
きわめて深刻な潜在的な脅威であることは間違いない。
事実としてのアジア太平洋戦争が日本の主導的な動きから起こったことを
世界は十分すぎるほどに認識している。
親日的で現実的だった鄧小平以降の中国国家指導者の中で
江沢民が無分別にも手を染めた、排外主義の標的として日本を利用するという
自己の権力の強化策、延命策は残念ながら
次の国家指導者・習近平も採用し続けるだろう。
そのように日本は認識を持ち続けた方がいいだろうと思う。
こうしたなかで、アメリカ・パネッタ国防長官が「ちょうどよく」
日中を訪問していた。
その結果、中国は一転して日本に融和的な動きを示し始めている。
アメリカとしては、当面、このような位置取りが
自国の戦略として好都合と考えているのだろう。
しかし、潜在的には日中の関係がぎくしゃくしていた方が
アメリカにとってはより好都合なのではないかと思われてならない。
また、今回の緊張関係を通して
アメリカは、日本の社会変化のほうにより大きな関心を持っていると
そのように感じさせるニュースだったと思います。

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