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屋根板金の現実

先日、たいへん興味深い講演を聴くことが出来ました。
屋根のことは結局最後は板金屋さんが仕上げるわけで、その技術の優劣について
ではどのような判断基準があるのかというと、
どうにも科学的、合理的な基準や技術標準というものはない。
しかし、その優劣が、少なくともユーザー側からすると
その家の価値をかなりの部分、左右している。
考えてみればおかしな話で、これほどまで普遍的に存在している技術分野なのに、
実際的なことはほとんど論議されることがない。
講演者は、よくfacebookなどで発言されている
有限会社樋口板金 http://www.amajimai.com/ の樋口健人さんです。

講演では、板金工事の実際的な写真などで
雨漏りの実態が、さまざまな角度から追求されていました。
わたしは先般、姫路城の見学をしてきましたが、
ちょうど屋根の瓦の交換工事中で、その模様を公開していましたので
つぶさに見る機会があったのですが、
それこそ「雨仕舞い」については、建築の基本のようなことで、
東西南北を問わず、みんながアタマを悩まし続けているのだなぁと実感しておりました。
今回の講演でも、聞いている間から
すでに会場のあちこちから、質問タイムの要請が沸き起こって
講演が一段落したあとには、途切れることなく
建築工務店側から、あらゆる質問が寄せられていました。
とくに寒冷地では、普遍的な外部からの水分対策としての「雨仕舞い」という側面に加えて
「室内結露」を主原因とする、室内側からの発生水の処理ということも必要。
それをよく分析して、明確に仕分けしながら
その両方に目配りしていくことが大切なのだと思い知らされます。

板金で屋根を仕上げるようになったのは、
そんなに前からのことではなく、
本格的に施工されるようになったのはここ百年くらいの話。
また、高断熱高気密という住宅技術がおおむね解明されたのもここ30年くらいの話。
しかも住宅のデザインは、それこそどんどん変化していく。
現代では屋根の形状は、なるべくシンプルに、
という流れが強まってきてはいるけれど、
しかし、依然として間取りしか考えずに家を建てるという風潮も根強い。
複雑きわまりない形状の屋根というのもよく見かける。
最後は判で押したように「コーキング処理」という糊付けで隠されるけれど、
その耐用年数というのは、驚くほど短く8年程度というようにいわれます。
また、冬場の気候変動は待ったなしで多くの地域に訪れてきている。
十勝地方のように、これまで寒冷期1月に雨が降ることが考えられなかった地域で
雨まで降ってくるようになってきた。
しかしその直後には、ふたたび乾燥して超寒冷な気候がくる。
そういったなかで、これまでの常識では考えられないようなストレスが
屋根板金には掛かってきている。
なかなかに奥の深い世界を垣間見せられた次第であります。

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