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【現代の「住宅業」は製造業か流通業か?】

きのうある住宅企業の社長さんと会話していて
深く思い至るところを感じさせられていた。
それはその企業が深く「製造業」志向で住宅を「作ってきた」ということ。
われわれ住宅のメディア人間としても、その取材対象の住宅をリスペクトし
その「作られた意図、目的意識のありか」を「表現」しようと務める。
できる限り空間の質を豊かに表現して
雑誌紙面やWEBマガジンサイトで読者が「追体験」できるように
情報を再構成しようと考える。
そういう意味でその情報のモトとして「製造者」の取材は欠かせない。
ところが、こういうことにあらためて気付くほどに
必ずしも「製造業者」である立場を自覚している人間が
この業界でもいまや必ずしも多くはないことに思いが至ったのです。
製造業と言うよりもむしろ「流通業」としての部分の方が
最近はより強くなってきているのではないか。扱うモノは「商品」であり、
その最大メリットを訴求するのがテーマ、みたいな。
そういうふうにとらえ直してみることができるのではないか、
そんな気付きであります。

たしかに住宅はオーナーとして個人があって、
その思いというモノが基本にあると思います。そのため、
住宅を作っていくときに個人の思いを十分に把握して作る必要がある。
その手段として「思いを汲み取る」必要がある。
そこでは柔軟な「情報のやり取り」流通業の側面は強く存在する。
しかしいまの住宅事業ではむしろ「商品」の流通という流れが強まっている。
現代ではマンションというレディメイドな住宅選択もあり、
そちらの方は、こういった「販売方法」が主流であり
当然ながら大きな資本を必要とする事業の性格から大手企業が介在し
そのような事業体の合理的なビジネス感覚が反映され、
住宅「流通」という考え方が次第に業界でのエリアを広げている。
そういう「販売スタイル」の方が現代資本主義には適合しているのかも知れない。
しかし、戸建て注文住宅ではやはり製造業の世界観が根強い。
そこに土地や地域性という「流通」的とは言えない絶対的条件も存在する。
やはりひとつひとつ丹念につくる価値感が優越する世界も存在する。

さてこういった違いのある業界だと思いますが、
ひるがえってユーザー側にとってはどういうことが最適解であるのか、
AEONがもたらす全国どこでも同じような商品構成ということが生む
現代的な「安心感」というような部分もある。
一方でそういう「快適」に拒否反応を持つ層も存在するでしょう。
いわば「やすらぎ」の価値感は万人共通ではないのでしょうし、
やはり価値感は多様化している、というようになるのでしょうね。
ただ、こういった大きな流れの中で「揺れ動き」はつねに顕在化する。
そういう部分をしっかり把握していく必要があると思います。

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