人間の暮らしには「家具」は欠かせない。
衣食住のすべてにおいて基本的な「道具」は必ずあり、
それは人間の暮らしを「豊かにする」と固く信じられてきた。
それらは人間の巣としての住宅に所有され収納する家具が発達した。
食器棚・庫、タンス、衣装ケースなどなど。
それらは機能を基本にしたけれど、デザインや意匠性が高められ
一種の社会的ステータスも表現する「モノ」にもなった。
現代人類は資本主義を経済構造として自然的に受容して
大量生産社会を作り大量消費社会を受け入れた。
資本主義以前の「家具」の存在と、以降の存在とは大きく量が変わった。
量が変わることで本来、質も変化する。
機能性と意匠性の分化が起こっているように思う。
いわば「家具」というものと収納機能とが別のものになってきている。
チマチマした家具では、爆発的に増え続けるモノを収納できなくなった。
「このモノを整理整頓しておくのはこの家具」みたいな
整理棚程度の家具では、間尺には合わなくなってきた。
結果として、現代住宅には大量の「ストッカー」収納が不可欠になった。
人間家族のイレモノとしての住宅は、
規格大量生産システムで量産住宅は可能だろうけれど、
その「暮らし」には、多様な収納物があって整理整頓をそれぞれに
考えていかなければならない。
家というのが、ある家族の暮らし全体を包み込むイレモノである以上、
収納をあれこれと複式方程式に考えていかなければならない。
現代では、いわゆる家具屋さんで売られている収納では
結局間尺には合わなくなってきた。
その家ごとにその住む人に合わせた収納をスーパー家具として
造作していく必要があるのでしょう。
写真のような「造作収納」というのが、現代住宅の特徴かも知れません。
新築の時には、使用している衣食住の総量はそれほど多くなく、
おおむね規格的な容量を想定すれば事足りる。
しかし、リノベ・リフォームではふつうは生活が営まれてるので
この「総量」が必然的に多様に増減する。
まずは、生活自体の総量把握、それの「再整理」が不可欠な作業。
リノベ・リフォームが声高に叫ばれ、必然の流れとか言われながら、
さっぱり気運と結果がともなわないのは、この生活解剖・再整理というヤツが、
想像を超えて大変な人間作業だということがある。
今回、リノベ・リフォームを経験してきて、
現代生活でこうした作業を行う困難をきっちりと体験させられた(笑)。
モノと暮らし方の「再整理」。大きなテーマとして確認しました。
Posted on 4月 12th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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