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【Q1.0住宅デザイン探求。新住協プロトタイプへ】

北海道の新住協メンバーと鎌田紀彦代表理事との間で
「小さな家」プロジェクトが立ち上がり数回の検討会が開かれてきています。
これは、新住協会員が共通して建築することができる
いわば「プロトタイプ」としての住宅設計プランを作ろうというもの。
こういったプランを持つことで、ユーザーへもブランドとしての認知が進んだり、
大きくはコストダウンにも繋がる可能性があると思います。
できるだけ普遍的な建てられようであることで、
多くの会員工務店から、ユーザーへの具体的なアプローチのきっかけができる。
鎌田紀彦先生はReplan誌面で「Q1.0住宅デザイン論」を執筆中ですが、
その連載企画の発想から発展してきた動きとも言えるでしょう。

土曜日には、その検討会議が札幌で開かれていました。
いくつか会員企業からの提案案件を論じ合いながら、徐々にコンセプトが
絞られていって、基本的な方向性が見えてきています。
鎌田先生は東大での研究生時代、内田祥哉先生の下で
プロトタイプ的な住宅研究に打ち込まれてきた実践経験がある。
またその時代には、東大で内田祥哉先生と池辺陽先生との間で
活発な住宅論の論戦もあった。池辺先生もまた同じように戦後ニッポンの
プロトタイプとなりうる住宅を追究されてきていたのです。
その流れから、池辺陽先生の追求されたコンセプトがいまの難波和彦氏の
「箱の家」シリーズにそのDNAが昇華されてきている。
鎌田先生としては氏本来の木造住宅合理化という最大目標へのステップが
今回のプロトタイプの動きではないかと推測しています。
まさに住宅生産工学の実践論だと思います。
工務店メンバー側は、日々住宅建築の現場でプラン経験を重ねてきている。
敷地の条件絞り込みからユーザーのホンネの住空間志向など、
肌で感じている実感に基づいて、それらがプランに反映されていく。
とくに敷地条件制約想定では、間口条件の絞り込み作業が興味深かった。
日本の住宅地はそれぞれの都市、地域で違いがあると思いますが、
そうした条件の最大公約数を検討し、ある「解」を選定していく作業は
まことに興味をそそられる作業プロセスでした。
図で示したのは、検討プロセスで面白かったプラン。
細長長方形プランで、間口方向によって南北逆転プランにも対応する。
その真ん中部分にややゆとりを持たせていることが特徴のタイプ。
次回8月初旬にはこうした検討を踏まえ、ある結論に至る方向性が確認された。
全国600社を超える住宅研究団体である新住協の、さらに革新的な一歩として
この動きには大いに注目していきたいと思っています。

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