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【ダクトエアコンによる全室冷暖房システム】

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9月2日の新住協札幌総会での研究発表で注目されていたのが、
東京での表題のシステム搭載の住宅事例。
これまでエアコン暖冷房については、基礎断熱の結果生成する「床下ピット」を
活用することで、1階に床暖房効果もあってコンクリート基礎の「蓄熱」効果も
利用するものが一般的に多く取り組まれてきたけれど、
ダイキン工業さんが「ダクト式エアコンの10畳用タイプ」という
手頃な小型のものを新発売したことを受けて、
それを階間の空間をピットとして活用して、上下階に暖冷房送風するというもの。
鎌田紀彦先生から、この実験的住宅のことはReplan連載記事打合せ時に、
お話を伺っていましたが、ダクト式エアコンは従来は高価な大型のビル用ばかり。
今回小さい能力のものが発売されたことで、実現に至ったもの。
ダイキン工業の「アクティビティビルトインS28RVL(10畳用)」というヤツ。

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通常の熱負荷計算にて熱負荷を計算すると、
暖房で2,854W(機器4,000W)
冷房で5,599W(機器2,800W)
となって、冷房の能力が足りないけれど、これまでの経験で
Q1.0住宅であれば足りると想定したと言うこと。
建物のプランとしては狭小地での3階建てですが、
密集都市部では一般的とも言える住宅。
ただ、このケースでは建築確認申請後に機器導入が決まったので、
天井裏のスペースが少なく、縦ダクトスペースも足りないため、
本来の計画からすると限界のある事例と言うことにはなっている。
またより効果的な、熱交換換気とエアコンの連動も不十分とのこと。
しかし今週7日には現地で鎌田先生と東大の前真之准教授が打ち合わせて
この住宅の熱環境実測調査も行われる予定になっている。
この発表直後から「すぐにでも導入したい」という
工務店関係者の会場からの声が発せられていました。
メーカー側もこうした鎌田先生主導の実験について大いに注目していて
実験への協力や機器改良について大変前向きと言うことなので、
有為なローコスト暖冷房システムに育っていく可能性があります。
カタログ価格で365,000円程度で全館空調が実現できれば、
日本の住宅にとって大きな革新を呼ぶことは間違いがないところ。
ただ、東京での事例と言うこともあって反響のあったみなさんは
比較的に温暖地のみなさんが多かった印象。
寒冷地域では暖房用の熱負荷との見合いでどうか、
また、寒冷地では従来同様、基礎断熱の床下ピット利用が
より優位な設備選択としてあるので、どうなるかというところ。
いずれにせよ、その稼働状況などの推移を注目したいと思います。

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