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【中古活性化=住宅資産価値対策になるか?】

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日本の住宅価値が欧米と比較して著しく減損・下落していく現実。
欧米では投資金額相当がほぼ維持されるのに、日本の市場では
半減以下になってしまう実態に対してどうすべきか、
国レベルでもいろいろな「対策」が練られてきている。
そのなかでもメインの対策として「中古市場の活性化」が
大きな政策テーマとされてきている。こういう方向性が国の方針を受けての
地方自治体・北海道での住宅施策検討会ではじめて提起されたときから、
なんとなく違和感を持ち続けています。
もう数年もこういった議論がされてきて、施策も打たれているけれど、
このポイントが本当に国民資産500兆円毀損への有効な対策になるのか、
どうもリアリティを持てない。

国交省、国の機関は、巨大なシンクタンク機能とは言われるけれど、
そういったデータを見ていると、いかにもと思わされる。
ただ、それは官僚機構的試算であって、その通りに推移するとはならない。
図に挙げた試算は平成25年中古住宅流通促進・活用に関する研究会への
参考資料として国交省から提示されたものの一部抜粋。
それをみると、現状の世代毎の住宅取得住み替え行動に変化がない場合、
30〜44歳というもっとも活発な住宅需要世代が減少することで
9.3万戸の着工減少要因になり、
逆に50歳以上の世代は人口が増えて、1.8万戸需要増になる。
その差し引きで7.5万戸の減少になる。
このときに産業刺激施策として、50歳以上世代の「住み替え可能性」を
米英のそれ並に生み出すことが可能であれば、
需要減を押さえることが可能になるという試算のようなのです。
50歳以上の世代での住み替え需要を1.5倍にすれば若年需要減を相殺し、
2倍にすれば、差引き現状よりも10万戸の需要増になるとされる。
さらに、英米での「住み替え需要」との対比を以下のように挙げている。
これだけを見ていると、新築住宅産業振興政策の根拠と方策を
あらたに追求しているようにも見えてくる。
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しかしそもそも中古住宅の流通が活発でないことが、
住宅価値が欧米に対し半減以下になっている主要な理由だろうか?
どうも、その因果関係について違和感を持たされる。
木を見て森を見ていないのではないのだろうか?
普通に考えれば、日本の既存住宅は中古としての魅力に乏しいか、
市場がどこかで決定的な失敗を犯したかではないのだろうか。
わたしがデータで興味を持っているのは、戦後もある時期までは
住宅の価値下落はそれほどでもなかったこと。
どうもそれは、上物の価値とは別に独歩高だった土地価格上昇が
パッタリ止まった時期と相応しているように見えること。
さらに、海外ではその資産価値が減衰しないような範囲で
新築住宅が市場投入されているように見られるのに対して、
本来が良質な資産形成がテーマであるのに、景気対策の側面が強調され、
無計画な新築住宅建設イケイケドンドンで進められた日本の住宅政策は
世界的に見ると、特異な存在だったのではないかという疑問。
どうも「市場の失敗」というよりも「市場形成の失敗」だったのではないか。
こういった着想で研究資料を当たっているのですが、
住宅政策のグランドデザインのあきらかな不在を感じさせられる次第。
戦後復興と、工業近代化・都市集中が同時進行した
戦後資本主義体制が必然的に生みだした特異的市場構造ではという
そういった疑念が湧いてきています。
このテーマ、もっと深く研究したいと思いますね。

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