さてきのう沖縄から帰還しました。
今回の沖縄滞在は3泊4日でしたが、ずっと梅雨空。
きのうも書きましたが、沖縄をベースで特徴付けている建築素材として
琉球石灰石の創り出す空間美が挙げられます。
写真は首里城外壁と、琉球石灰石を外壁素材として使った沖縄県立博物館。
この時期らしく水分をたっぷりと含んだ素材感が
独特の景観を形成してくれています。
ウェットで、ひとの情念にしっとりとからまってくるような
そんな質感を感じさせてくれます。
沖縄は日本のなかで建築的にも、きわめて独特な地域景観を創っていますが
その主役はやはり間違いなく、この素材が作り出す魅力。
北海道でも、同じような多孔質の火山灰ブロック建築が一部の住宅で
素材として活用された歴史がある。
わが家はそうした地域文化も継承したくて建材として選択しましたが、
とくに2重壁を構成して外部にもブロックを露出させた住宅建築の場合、
この沖縄の景観美と似たような視覚効果は得られていました。
わが家周辺にも、こうしたブロック外壁の住宅が数軒見られますが、
残念ながら徐々に木造建築に駆逐されつつあるのが現状でしょう。
なにやら、地域文化の象徴のように思われる次第ですが、
沖縄では、こうした造形美が今後とも長く継続する実感がある。
沖縄の建築の歴史を見ていると、その建材に特徴が明瞭です。
琉球王朝時代には、建材利用が身分制による制約を受け、
とくに木材には使用制限が加えられたりしていた。
狭い土地利用、森林資源管理の両面から、
フクギなどが「禁制」の対象とされたりしてきたと言われます。
アメリカによる支配の時代、木造で米兵のための住宅建築などが
活況を呈したとき、はじめは木造で多く建てられたけれど、
それが台風で被害発生が多発して、
コンクリート建築に置き換わっていった。
それが地域の「在来工法」となっていった。
知人の家は、北谷の70坪ほどの土地の「建て売り住宅」でしたが、
今から35年ほど前のコンクリート造り・平屋建。それにツノを生やしたように
2階を増築しやすくする「柱」だけが建てられていたそうです。
見させてもらったら、約20坪程度の1階床面積。
沖縄らしくブロックで塀が回されていて、
いまは、中庭がちょうど外の居間のように使われていて
沖縄の住宅文化変遷も感じさせてくれます。
そのうち「沖縄Replan」でもはじめたら、こういった地域住宅文化を
もっと深く掘り下げていってみたいなと思っています(笑)。
さて、本日からまったく温度・湿度の違う北海道での
日常生活再開であります。がんばるぞと。
Posted on 6月 14th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備
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