さて、韓国ツアーでは世界遺産・河回村がメインの視察だったのですが、
情報を集めて、現代の住宅サイズの建築群も見学に。
そんな情報集めで引っかかってきたのが、「ヘイリ芸術村」というゾーン。
インターネットでの紹介を見てみると以下のようです。
〜ヘイリは韓国の作家、美術人、映画人、建築家、音楽家など、
様々な分野の芸術家たちが集まり形成された文化芸術村です。
この共同体村ヘイリの中には家と作業室、美術館、博物館などの
文化芸術空間が設けられ、現在も次々と建築中です。
この芸術家たちはヘイリの中で創作、展示、交流、販売、生活をしています。
2005年現在、ヘイリには博物館、展示館、音楽ホール、書店などが
40軒ほどあり、今後3-4年内には約400件まで増える予定です。
展示館や博物館にはカフェも併設している所が多く、
現在は10軒余りのカフェとレストランが運営中です。
ヘイリ芸術村は、新環境的な建築規定を作り、自然そのままの
地形を活かしながら建築物を建てています。厳しい建築規定があるため
全ての建築物は3階建て以上建てることが禁じられており、
また各自の分野に適合した建築物を、専門建築家が設計し建てられるため、
建築物だけを見ても、非常に芸術性溢れる村です〜
というコンセプトでの小建築、住宅サイズの建築が大量にある。
芸術家たちのために、「とんがった建築」であることが要望されるのか、
韓国内の建築家たちが、その意匠性を競っているようなエリアです。
で、結論から言うと、審美眼的に大きな疑問を持った次第。
韓国では、とくに首都ソウル周辺では、高層のマンションが林立している。
戸建て住宅というのは、いまや超高級住宅くらいしか存在しない。
その戸建て住宅でも、木造というのはきわめてレアで、
ちょうど沖縄の状況と酷似している。
たぶん、戦争による破壊の結果、建築は一様にRCを選択している。
小住宅でも、木造ではなくRC造がきわめて多い。
ここはRCで「とんがった」建築を小さいサイズでつくる、という
展覧会のような、パビリオン群というエリアなのであります。
それは理解出来るけれど、出来ている芸術家たちの建築に
ほとんど美を感じられないというパラドックスが迫ってきて仕方なかった。
ムリヤリ感とディテールの破綻ぶりに目が行って仕方がない。
この異様な不条理感はなんなんだろうかと胸に手を当ててみた。
結局、素材としてのコンクリート自体に、魅力がない。
その共通の「モジュール感」が存在していないことからくる、
一種の不統一感が、気分を重くさせてくる。
木造であれば、規格寸法というものがあって、
おのずと、出来上がった建物にある共通性が生じて、
その集合に統一感が生まれ出るものなのだということを、
こういった反面教師は教えてくれているように思われた。
またこうしたRC建築には、隣家への配慮というものが欠けている。
各戸が主張するばかりで、共同体へのリスペクト志向が育たないのかと。
その後訪れた、世界遺産・河回村の木造建築群のデザインの美しさと
きわめて対比的だったというのが強い印象です。
木造は古びていくほどに、どんどんと味わいが深まっていくものだけれど、
RCは、どんどん「廃墟」感に向かっていくのではないか、
建物端部での水仕舞などの破綻ぶりを見せられ続けていると、
「愛着の耐久性」に、大いに問題があると思わされた次第。
Posted on 3月 16th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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