きのうの投稿には、多くのみなさんからの反響がいただけました。
出雲の博物館学芸員の方からも森林資源史についてのご教示もいただけました。
インターネット時代というのは、まことに素晴らしい。
SNSの広がりはたいへん大きな知の進化を生むのだと実感。
そういったなかで、やはり日本の森林の状況について
大きな危惧を多くのみなさんが持っていることが伝わってきます。
わたしたち、住宅建築に関連する人間にとって
その原材料としての日本国土の森林には思いを致さざるを得ません。
資本主義が全地球規模でその効率主義を開花させていく時代、
森林資源についても、世界的な競争原理に基づいて
原材料が、コストパフォーマンス原理で選別されることになるのは
市場圧力としては、ある意味、当然ではあります。
しかし、それによって日本の森林はコストに見合わないという理由から
森林管理もままならず、放置されることでやがて荒廃の危機に至ることも
近年の集中豪雨被害などから明らかだと思います。
適切な下草処理、間伐作業などの地道な営為がコスト面で
競争に耐えられないから,放置されると言うことは、
結果として、わたしたちの生命財産を大きく毀損させることになる。
ここは大きな「知恵」を出す必要があるのだと思います。
単純に、補助金を多く出して補助金付けの産業を生み出すという
安易な「解決法」ではない、持続可能な解決が求められている。
とはいっても、残念ながらいい考えはいまのところ、浮かんでは来ない。
そういうなかで、先日も紹介した丸谷博男さんから知らされた
オーストリア・ファールベルク州の村の例は参考になるかも。
それは、日本と同様の急斜面で
機械投入による森林管理に適していない杜を抱えている地域。
そこでは、地域でつくる公共建築を自分たちのヤマの木材資源を使うと
基本政策を決めたと言うことなのです。
この結果、人口減少地域であったものが、産業の勃興を招き
人口増加、新ビジネスの発達といった効果を生んだそうで、
いまや、20階建てのビルすら木造で建てられるという技術革新を生んだ。
先日のカナダアルバータ州でも、多層階木造技術は
いろいろに進化していたけれど、世界有数の木造技術大国日本でも
行政のなかの人々と、建築の側の人間が相呼応していけば、
こうした道は開けていくように思えます。
その萌芽や、実験的な動きはすでにあるのですから、
わたしたちは、そうした動きをサポートし、
みんなの知恵を集めていければと強く念願しています。
Posted on 2月 10th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅性能・設備
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