家の中の温熱環境を、いかに心地よいものにするか
その基本になるのが、まずはそれをコントロール可能にするということ。
そうしたときに気密化は大前提になります。 外部の温度環境に左右されない室内気候の実現は、こうすることではじめてみえてきます。
写真は、わたしが設計プランに関わった住宅の気密化工事の完成段階の様子。
室内側からの生活で発生する水分湿気を、断熱層や構造材に影響させないように、このように防湿のビニールシートで囲い込むわけです。 こうしたしっかりした防湿層をどうしたら作り出すことが出来るのか、という点が住宅の性能向上のためにはきわめて大きなポイントで、以前にご紹介した室蘭工大の鎌田教授と、オープンな技術研究民間機関としての「新住協」が探求してきた成果が、こんにち広く活かされているわけです。
構造材工事との段取りや取り合わせの部分の作業手順なども、多くのみなさんの現場的な工夫と実践活動の結果、建築工法として完成してきたものです。
比較的安価に住宅の性能向上を図るために、特定のメーカー断熱材に左右されない、広く出回っている入手しやすい材料だけで可能で、誰もが取り入れられるオープン工法システムが、確立してきているわけですね。
こうしたスタンダードな作られ方で建築されたこの家、じつはわたしのカミさんの実家です。
建ててからもう6〜7年になりますが、延べ床面積が36坪。主暖房は1階にFFストーブ1台で、補助で2階に1台ポットストーブを使用しています。
高齢者たちの住まいですが、快適そのもののようで全員元気いっぱいに過ごしております。 っていうか最高齢はもうすぐ100歳になるひいばあちゃんもいまして、(現在は認知症の進行で施設に入っていますが)つい最近3ヶ月前までここで元気に暮らしていました。
はじめはその前の家とまったく違う環境になるので、暮らしの移行に伴うストレスなどの面を心配したのですが、まったくの杞憂でした。 「あったかくて、たいした、いいわぁ」と口癖のように言ってくれて、安堵できたものです。
で、この家、建築費は1,260万円(税込み)というコスト。
なんですが、この気密化工事のうえに、断熱は100mmグラスウールの充填にプラスして、50mmの板状グラスウールを「付加断熱」しています。あったかくする工事は、しっかり手抜かりなく。
そのうえ、内装工事はもちろん豪華には出来ませんが、それでも仕上げは基本的に自然素材だけで構成しています。床は無垢のパインフローリングなんですよ。
基本的な性能向上のための費用というのは、だから、それほど全体コストに響いてくると言うことはないといえるのです。 よく本州地域で聞く言葉に、高断熱高気密仕様にするから工事費が高くなる、みたいなのがありますが、よく理解できない部分があります。
高断熱高気密の家づくり技術に取り組む初期段階でこそ、この写真のような気密化工事には、きちんとした現場段取りの管理ということが必要にはなると思いますが、経験を積めば建築のコストアップとは関係のないことだと理解できると思うのです。
ということで、ぜひ多くの全国のビルダーさんが、
こうした基本的な技術をつかんで多くのユーザーに、
「安くていい家づくり」
を提供して欲しいと希望してやみません。
Posted on 10月 11th, 2005 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備
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