きのうは那覇市周辺の住宅を何軒か、見学しました。
こちらの家は、1軒目に見た住宅。
有限会社門・金城優さんの設計作品です。
建築は独学で学ばれたそうで、就職先として沖縄で設計事務所に入り
その後、イタリアに修行に行って
帰って来てから独立されたという方です。
沖縄の住宅建築の歴史は第2次世界大戦後、
戦争の惨禍からのスタートで、
占領軍であるアメリカ軍の住宅施設建設から始まったそうです。
そこでは米軍のカリフォルニアにおける建築仕様規定が適用されたそうです。
こうした規定はハワイにもあるそうなのですが、
なぜか、カリフォルニアの規定が採用されたと言うこと。
推定ですが、米軍なりに気候風土・材料調達条件などを研究して
より合理性が高いと判断して採用したのだろうと思います。
たぶん、建築材料として木材の入手が難しいと判断し
台風被害への対策が優先されて、
コンクリート住宅が採用されたものと思います。
こうした建築仕様での最初の建築需要を、復興経済として
沖縄の建築業界は生きていくために受注していった。
こうした経緯はある合理性を持っていたようで、今日に至るまで、
9割の住宅がコンクリートで建てられている起因条件になった。
しかも台風への対応が、先験的な与条件なので
その後の住宅「性能」要件においても、ユーザーへのアピールとしても
「より頑丈」という競争が促進された。
その結果、より分厚い、野太い力感優先のデザインが
多くの住宅で採用されていた。
そういうなかで、
基本構造はRCながら、屋根は軽く木造で架ける混構造を採用し
イタリアンデザインらしい、より繊細なコンクリートのディテールを
金城さんは追求されているようです。
写真はリビングへの日射を遮っている長大な庇ですが
これもコンクリートで作っている。
先端部分は、厚みを徐々に低減させていっている。
端部の厚みは25mmということで、
ギリギリの細さで、繊細なデザインを実現させている。
ほかの沖縄のコンクリート住宅が、やや鈍重な印象を与えるのとは対照的。
また、屋根も構造梁端部を鋭角にカットしていて、
どちらもシャープな形態でモダニズムを表現している。
一方で、与条件としての台風対策も
ディテールでさまざまに対応している。
やっぱり、実際に建てられている住宅からは
人間たちの与条件との格闘の軌跡が伝わってきて
まことに面白い。
住宅になぜ、わたしが惹かれているか、
もう一度、再発見もさせられる思いでありました。
で、沖縄の家は、平屋が多い・・・。
いろいろ面白く見学させていただきました。
Posted on 8月 23rd, 2014 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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