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武士の自己装飾

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本日は趣味の世界の歴史探訪です。申し訳ありません。
どうしてもこういうものから興味が離れません。
やっぱり大学で、歴史を勉強しておけば良かったかなぁ、
っていう思いを強くしているのですが、
まぁ、趣味の世界で知識を得る方が、おもしろさと言うことでは大きい(笑)。
写真は前九年合戦の様子を活写した絵巻物の一部分。
当時って、鎌倉の関東独立政権に至る「武士の成立期」といわれます。
で、見ていると「武士」という存在の自己装飾性が際だっていると思います。
甲や鎧とか、きらびやかに競っている。
この時期の戦争って、どういうものだったのか?
王朝国家の律令体制がどんどん崩壊していって、
土地の私有制が認められていったけれど、
それは、官僚機構上層部の貴族連中や、大寺社という「官許」を得られる身分層の
独占的な「うまみ」だったといえるのでしょう。
実際には自分たちが高価な農業用の鉄器を入手して
簡単には開墾できない未開拓地を収穫可能な農地にしながら、
その法的所有権を、そういう中央権力層に保全して貰うような状態だった。
身分的にはそういう権力層の現地代理人的になっていた。
で、そういう連中にとって、前九年戦争は、数少ない「恩賞」が期待できる機会だったのか?
律令体制のなかで、合法的に「土地を得る」手段だったのかも知れません。
そういう機会に自分の果たした役割を、
現地で認定する武家貴族、源氏の大将などに強烈にアピールするために
他とは違う、「印」を明確にするために、
このような装飾を施しはじめたのでしょうね。
明確な形の「自己主張性」というのが特徴ですね。
鎌倉から、リアリズムと個人(家)主義的なものが成立していった、
という説が強いと思うのですが、こういう絵でも納得できます。
馬って、こういう戦争での参加基本単位を表しているのでしょうが、
その馬にも重厚に装飾性が働いている。
軍記物での武士の装飾性表現は克明ですが、
このような理由によるものと考えると、
なんともすさまじいものだと思われますね。
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