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被災地と「建築賞」

1790

駆け足でしか歩けなかったので、この写真の建物、
「みんなの家」陸前高田について、きちんと見学することは出来ませんでした。
不勉強で、こういった動きについてあまり情報はなかった。
建築家の伊東豊雄さんが中心になって、
乾久美子(建築家)
藤本壮介(建築家)
平田晃久(建築家)
畠山直哉(写真家)
というチームが、全的被災地である陸前高田で建築した施設なのですね。
この「作品」をもって、めでたく(?)第13回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展
国別参加部門の最優秀賞である、パヴィリオン賞(金獅子賞)を受賞したそうです。

被災地で住宅復興についての取材活動をしていると
いわゆる建築デザインについての考え方は後景になるのを避けられない。
それ以前に、生きていく実質についての問いかけが
不断に迫ってきて、考えが及ばなくなってくる。
ギリギリの与条件のなかで、まず第一に「環境要件」を満たすことが
設計者に求められる基本的な要請だと思えてくる。
きびしく凶暴でもある自然の猛威を体験した人々に
まずは、建築は安全と安心をこそ提供すべきであって、
その則を超えて、被災した立場でもない人間が、その建築を通して
「個性的」であることを主張することは、はばかられる感じがした。
多くの、ボランティア的な動きをしてきた建築関係者の内語として
このことは共有されていたように思う。
菅直人が招集した「復興国民会議」に「有名」だからということで
安藤忠雄さんが選ばれていたけれど、
まさか、震災の象徴としてのモニュメントを安藤忠雄作品として作る
そんな展開になるのでは、と思っていたら、案の定、
そうした内容の「趣意書」が出てきて、息をのんだ記憶がある。
それが実現したという話は聞いていないけれど、
そのときに、菅直人の政治家としての小ささを実感した気がした。
あの過酷災害の時に、いちばんその立場にいるべきではない人間がいたことで
その後の民主党の瓦解が決定づけられたのだと思う。

建築の賞というのは、
一体、どういったことなのだろうか?
けっして肯定的ではない、いろいろな声を聞くにつれて
どうにも持ちきれないものを感じさせられてしまいます。

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