19-20日の二日間、約1年ぶりに陸前高田から石巻まで視察しました。
折から、22日からの天皇行幸を控えて、
随所にその予兆を感じながらの2日間でありました。
今回は盛岡で、東北フォーラムや北海道のソトダン21というグループなど、
全国の住宅技術研究団体4団体による合同交流例会。
その日程が19日前半まで組まれていて
午後2時過ぎ頃に終了後、北海道のソトダン21メンバーと同行しての道行き。
東北在住のメンバーを案内役にして、
住宅復興、地域復興の現状を見て回った次第です。
ルートは住田町でモデル的な住宅を見学後、陸前高田の状況視察、
そこから南下して気仙沼。1泊して、さらに南三陸、女川、十三浜、
最後は石巻の現状を視察するという岩手〜宮城地域であります。
22日から天皇陛下は、1泊目南三陸、2泊目気仙沼と宿泊されます。
そのうち、2泊目に当たる気仙沼では、陛下の宿泊先と同じホテルに投宿。
途中各地で警備に当たる警察関係の車両が目に付きました。
震災後、3年半近く経って、世間の話題が沈静化しつつあるこの時期に
国民統合の象徴としての陛下の行幸は、
再度、スポットを当てることに繋がるかも知れません。
そうした成果を期待したいと念じます。
ただ、各地ではそのお迎えの準備などで緊張も高まっていました。
今回の視察でいかにも象徴的だったのが
写真の陸前高田の「ベルトコンベアー」の巨姿であります。
全的な津波被害を受けて、平野部ほぼ全域に、
周辺山地の土を掘削してこのベルトコンベアーで集積地に移動させるのです。
人類史上でも、そうは類例がないような事業が
忽然として出現していました。
多くのみなさんから疑問や否定的な反応が見られているようです。
そうした見方も理解は出来る部分がありますが、
現代の人命尊重と民主主義という社会の体制の中で、
そのとどのつまりの震災対応策として、
このような形になること自体は、やむを得ない部分があろうかと思います。
しかしこれは大変な自然改造であり、破壊であることは疑いがない。
陸前高田の市長さんは、決断に当たって大きな覚悟は持たれたでしょう。
そのことがどのような歴史的審判を受けるかは、
時間の経過を見ていかなければならない。
ベルトコンベアー設置稼働だけで120億円の巨費がかかるそうで、
一時的な利用だけのためにそうした巨費が投じられることに
大きな批判があるそうです。
しかし、「奇跡の一本松」だけがセンチメンタリズムの象徴になったとしても
地域としての陸前高田が力強く蘇ることにもならない。
行政府がなさねばならないことには、
批判を覚悟して勇気を持ってかからなければならないこともある。
そのとき不人気だとしても、社会のために必要なことを為すのが
政治の役割だというのも、厳粛な事実だと思います。
さて、このような光景が天皇陛下の行幸とともに
全国に情報発信されて、国民各層からどのような反応が出てくるか、
注目していかなければならないと思っています。
Posted on 7月 21st, 2014 by 三木 奎吾
Filed under: 日本社会・文化研究
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