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戦後日本国家の困難

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戦後日本は、「欧米に対して敗北した」戦争による荒廃からスタートした。
アメリカによる焦土作戦は徹底的で、野蛮な側面が多かったけれど、
敗戦した日本軍国主義の犯罪性から、それは免責され
敗戦国がなにを言っても仕方ない、というように押し流され
戦後日本国家が、対アメリカへの従属国体制として進展していった。
それは西側陣営のアジアでの「不沈空母」としての役割が増大したことから
戦後処理として片側的な対西側陣営的な大枠において成立した。
アジアでの近隣関係については、その大枠が固まってから、
日韓関係として成立し、その後日中間でも国交が成立した。
そのプロセスでは、戦争の処理は条約によって清算されている。
日中間では中国側が賠償を放棄して、その代替として
経済発展のための援助を行うことで、国交が復活した。
少なくとも、日本国民はそのように理解して、戦後国家は歩んできた。
戦争の処理は、まずは欧米、アメリカに対して行われ、
共産化していた中国との関係は清算が遅れた形になった。
韓国については戦争してはいない。併合していたのだ。
したがって、通常的な戦争賠償は責任が存在していない。
そのような特殊な関係であったので、日韓条約で特殊に解決させた。
そして、日本は共産圏に対してのアジアでの最大拠点として
冷戦構造の中で経済発展し続けてきた。
戦後一貫して戦争放棄の国是は広く世界に認知され、
アメリカの従属国的な外交態度もあって
特段どこの国とも関係が極度に悪化したという経験がない。

そのような歩みにおいて、近年の韓国・中国側の主張について
はじめは奇異な感じを持ち、ことなかれ主義で対応した。
先方の主張に「決着を付ける」には河野談話として
先般訪韓した眉毛の元総理が言っているように
「ことのあるないにかかわらず」、「臭いものにふた」的に対応した。
そしてそれは国際的には政府が認めた「事実」になった。
戦後国家の「あいまいさ」を国際的な関係においても流用したのだ。
そのことがひとつの根拠になり、外交ゲームで拡大して蒸し返されている。
そしてやがて、日本人は怒るようになって来た。
どこまでもそのように言うのなら、ことをきちんとさせよう、という自己主張。
いまが転換点になって来たのかも知れない。
対米従属でやっていれば良かった時代には
こういう「普通の国の外交的苦悩」は、そうは味わう必要がなかった。
なのでこうした「普通の国」的な困難対応が、国民世論的に難しいと思う。
ヘタをすると、一気に民族主義が刺激されて
防衛力強化、さらには潜在力を活かした核武装にまで至りかねない。
中国は少し戦略的で別だけれど、韓国は日本に対して、
そのような長期的安全保障危機を挑発しているという認識はあるのだろうか?
どうもこの辺の危機認識を持ってやっているとはいいがたい。
アジアにおける一番の危険因子はやはり潜在的には日本だと思う次第。
戦前日本の世論は、ああいった侵略戦争を大いに鼓舞していたのだ。
いまも状況が変われば、日本世論はすぐに過激化していくのは目に浮かぶ。
核武装するには、日本はほとんど時間が必要ではない。
アメリカはそのように日本が向かった場合、どのように対応するのか、
中韓はどのように対応するのか、
最近の中韓の主張には、そういった地点にまで引きずられる危険を感じる。
日本の国内世論の沸騰は、そうなる可能性を内在的に持っている。
やられたらやりかえす、というのは外交ゲームの基本だ。
ようするに交渉ごとにはなによりも強い軍事力が不可欠だ、
戦争放棄の憲法が足下を見させる最大原因だと、
日本世論がなったとき、一番の圧迫を受けるのは隣国だろう。
アメリカがこの問題について、同盟国家的でない対応をしてくるのであれば、
なんのために米軍を駐留させて多額の費用を払っているのかと
論理の必然として、必ずそうなってくる。米軍による駐留、日本防衛と
わが国の戦争放棄の憲法は表裏一体の関係なのだ。
ドイツは、第1次世界大戦の戦争処理の無理難題を押しつけられて
結局、それを全否定するナショナリズムにたどりついてナチスに至った。
そうした反省から第2次大戦後の戦勝国側は、平和構築において
その轍を踏まえた処理を行ったのだ。
いま、中韓両国は、ふたたびこの愚を繰り返そうとしている。
ほとんど外交ゲームとして国内の民族主義を刺激し日本を叩いている。
さて、そうであるとして、わたしたち現代の日本人として
どのように考えていかなければならないのだろうか。
そこのところで、戦後の平和国家を発展させていく方向性が見えにくい。
わたしたちは成熟した平和国家の市民として
こうした困難な外交に立ち向かっていけるのだろうか。
わたしにはよくわからなくなってきている・・・不安だ。

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