塗り壁の写真は、先週土曜日、仙台での取材先の様子です。
以前、ある建築家の建てた住宅を取材していて、「最近の家って、こどもがひとりっきりで泣けるような場所、ないじゃないですか」と、語ってくれたのを印象的に覚えています。わたしたちの年代では、親に叱られて押入の中や、土間の隅、小屋裏など暗い場所ででさめざめと泣いていた、という記憶がある。また、古民家を取材していて、とにかく安心するのは、古い木材がもつ暗い質感。どっしりとしていてざらついた木の表情を見ているだけで、人間のこころのひだにうるおいがよみがえるような感覚にとらわれます。
そうなんですよ。
いまの家が昔の家と決定的に違うのは、この陰影感のなさなんです。モダン志向でやってきた日本。なんでも開放的にあかるく、という家が多かったのですが、それはちょっと違うと思うんです。
うれしいことに最近、無表情でのっぺりとしたビニールクロスの壁仕上げがあきられてきて、塗り壁のざらついた表情を愛するユーザーが増えてきました。やっぱりみんな同じ思いを持っているようですね。
明るい空間と、すこしダークな空間のバランス。そんなことが無意識のうちに求められてきているのだと思います。
Posted on 8月 31st, 2005 by replanmin
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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