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政治の基本は「食べていける道」

さて、きのうの選挙結果を受けて
これからの経済の方向性も方針が見えてきているように思います。
今回の選挙で露わになったのは、国民の多くが
「経済対策」の重要性をを再学習したことではないか。
選挙のはじめ頃に、自民党はアナウンス効果で円安や株価上昇をもたらした。
安倍さんには相当にラッキーが働いた気がする。
あるいは市場が、経済に対しての政治からの久しぶりのメッセージで
大きく反応した、歓迎した、ということなのかも知れない。
伝統的な自民党の経済重視の姿勢が、有権者に
「そうだ、本当に必要なのはこういう政治主導なんだ」と
気付かせた効果が大きかったように思われます。
民主党政権に決定的に欠けていたのは、
経済への政治からの働きかけを、
目に見える形で表す努力というものが見えなかったこと。
とくに、菅直人という「市民政治家」を震災発生という非常時に
政権トップに据えていたというミスキャストが大きかったと思う。
国民の財産が大きく毀損したときに、
あるいは原発、エネルギーの大きな不安が見えてきたときに
それを乗り越えるべき、それでも国民が毎日を暮らしていく、食べていくための
政治的アナウンスを出さずに、
むしろ危機をさらにあおり、その後は無為無策を繰り返してきた。
それも悪者を仕立てて、ヒステリーを煽るような政権運営をしてしまった。
決められることは山ほどあったのに、なにひとつ政治的に決めなかった、
という不作為のみが政治の世界で日常化していっていた。
「政治」というのは、そもそもからして多くの民衆が生きていくための
「宰」をふるう行為。
適切な経済政策をもって、飢えからひとびとを防御していくべきものなのだ。
まず、政治の要諦はそこにあるのであって、それ以外ではない。
菅直人を筆頭とする、党内政治の勝利の結果で権力を握った
いまの民主党の主要メンバーたちに、こういう期待を持てただろうか。
さっぱり先が見えず、出口なしのような経済状況に対して為すすべもなく、
とまでは言わないまでも、
少なくとも経済・市場に届くような発信力のある政治家はいなかった。
原発事故の問題にしても、ただただ、状況に振り回されて
その状況をどう変えるのか、自然エネルギーに転換していくこと自体はいいとしても、
それで食べていけるのかどうか、一度も明確なメッセージはなかった。
やはりどんな問題も「生活」レベルに落とし込んで、
その政策の方向性を指し示すべきなのが、政治家の大切な要件ではないのか。
だとすれば、まだ食べていくことに希望を照らそうとしたメッセージに
多くの国民の民意はみごとに結集したのだろう。
安倍さんが発したメッセージは的確に、経済ならば自民党として伝わったのだと思う。
結局、どんなきれいごとも食べていけるかどうかが、
明確でなければ、成熟した国民国家では力を持たないのだということだろう。

逆に言えば、今回大敗した諸党派は、
このように示された民意に対して、誠実に向き合って行かなければならない。
健全な民主政治を機能させるためにも、敗北した諸党派の
体制立て直しを大いに期待したいと思う。
反省の上に立って、より魅力的なリーダーと政策を指し示して欲しい。

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