昨日、息子に録画を頼んでいた一昨日のテレビ番組を視聴。
NHK北海道が独自制作した、動物とひととの関わりから見た北海道2万年の歴史です。
北海道を舞台とした歴史という視点にすごく惹かれた次第。
縄文時代、北海道島と本州以南とでは、その人骨の歯にも違いがあるそうで、
先日書いたドングリなどをたくさん食べていた本州以南では
歯の分析から多くの虫歯が見られるのに、
主に肉食であった北海道人には虫歯が少なかったのだそうです。
それは、旧石器から縄文への時代変化に「気候変動・温暖化」があったとされ、
本州以南地域では、大きな広葉樹林帯が形成されて
主食になり得るような木の実が入手しやすくなったのに対して
北海道島では、寒冷気候が残り、食生活での「伝統」が存続したのだという。
「伝統的食文化」というものの推移もかいま見えて、面白い。
奥州市にある「角塚古墳」からは、
北海道オホーツク地域・白滝産の「黒曜石」が大量に出土。
これは、古墳時代前後に北海道島から東北北部に進出した
北海道人の足跡を表しているという。
この黒曜石は、その用途として動物皮革から油脂成分を落とすために使われた。
そういうことも黒曜石の断面分析からわかるのだという。
生産された皮革製品は、ヤマト国家側との交易で交換された。
ヤマト国家側では鉄の武具の繋ぎ材として使用された事例が紹介されていました。
その後の、馬やワシの羽根の交易などでも示されるように
主に軍事的な利用という、たぶん高額な交易の材料になっていたことが推察できる。
そうだとすると、この古墳に埋葬された有力人物は、
その後の安倍氏・清原氏・奥州藤原氏にまで繋がっていく
「蝦夷」社会有力者の祖型を表しているのではないか、
そんな妄想も簡単に芽生えてきました。
しかし一方で、白滝の方の黒曜石産出の実体の方は、
どのような社会構成がそこに考えられるのか、ひとつの疑問が生まれ出た。
黒曜石については、北海道白滝産のものが全国各地から出土すると言われるけれど、
その生産社会はどのようなものであるか、
またその流通はどんなものだったのか、不勉強なのでわからない。
番組半ばでは、旭川市博物館の瀬川拓朗さんも登場して
アイヌ社会の上川盆地での、サケ交易に特化した社会の実態分析を
紹介されていました。
交易品としては、サケの乾物・鮭とばのようなものとして
大量に本州以南地域に「輸出」されたものと推定されている。
その見返りとして、鉄鍋などの基本的な食生活をささえるような製品までが
北海道島社会にもたらされた。
このあたり、社会維持の基本的な安全保障で考えれば、非常に危うくなっていく。
これは、北海道島社会がヤマト、日本国家側との交易に依存したものになっていく経緯を
明瞭に解き明かしてくれている。
同様の社会変化は十勝東北部の陸別でもシカの大量捕獲痕跡からもうかがえている。
その後、明治以降のことも取り上げられていましたが、
まぁそんなような番組構成だったように思います。
こういう大テーマを、わかりやすく先生と生徒の掛け合い漫才に仕立てて、
一般にもわかりやすく見せていました。
取材と制作プロセスでもなかなかNHK北海道、頑張っていましたね。
大いに拍手したいなと思わせられた次第。面白かったです。
Posted on 12月 16th, 2012 by replanmin
Filed under: 歴史探訪