きのうは新住協の北海道のメンバー有志と
鎌田紀彦室蘭工大教授とのQ1.0-X研究会ゼミに参加。
このゼミ、もうかれこれ4〜5回はやってきているのですが、
日本の「在来木造構法」住宅で、さらに性能向上を計って行くにはどうすべきか、
っていう基本認識で行われているものです。
ドイツのパッシブハウスにせよ、
スイスのサスティナブル運動にせよ、
住宅の熱性能値を定めたものであって、具体的な工法に落とし込みながら、
その設計や施工のプロセスでの実践的な指針ではありません。
日本の住宅は、柱と梁で構成される独自の構法であって
基本的には壁式構法をベースにした海外の住宅技術とはやや差異があります。
このような住宅構法の条件下で、室内の温熱環境を
コントロールしていくためには、まず基本的な密閉技術の構築が必要。
石油系材料である板状断熱材に頼った外張り断熱だけでは
現実的に、コストの面で性能向上は難しくなってきている。
充填断熱をベースにしてその断熱厚みを上げていく具体的な手法開発、
構法との整合性の担保が、具体的に必要になっていきます。
これまでの流れで感じているのは、
「開口部のデザイン」ということが、かなりの大きなカギを握っているということ。
開口部の熱損失と、日射取得率との見合いの中で
既成の、一般に安価に入手可能なサッシ、ガラスの組み合わせと
施工の手法の組み合わせ技で、開口部性能をコントロールしてきています。
鎌田先生の発言では、
南面の開口部のデザイン、その選択が一番大きなウェートを占めている。
それをどのように開けるのか、
そして夏には逆にどのように日射遮蔽していくか、がカギ。
冬場の太陽光の導入と、夏場の日射遮蔽との間でのせめぎ合いがポイントのようです。
熱計算ソフト、QPEXを使って、
さまざまな設計条件の住宅について、その熱性能を検証していきながら
だんだんに見えてくる未来的な住宅設計の世界です。
先生からも以前発言がありましたが、
このような先進的というか、革新的な住宅技術開発について
一般の工務店レベルで高い技術水準と、そういう技術興味を強く持っている
そういう意味で、やはり北海道の住宅技術の優秀さは格別です。
鎌田先生のような実践的研究者と、
多くの技術興味の高い作り手の両者の存在が、大変貴重なのだと思います。
結局、実践的な研究開発というのは、
とくに木造住宅という汎用的な技術の世界では
こうしたことが、大変重要な構成要因であると思われます。
Posted on 8月 10th, 2011 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備
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