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日本人男子であること

先日観た、倉本聰さんの脚本の舞台「帰国」の
最後近くのシーンが胸から離れない。
そんな思いをしていて、ようやくラストシーンで流れていた
長渕剛さんの「愛していると伝えてください」という曲をインターネットで発見し、
「あ、そうか、これだったんだ」と気付いていました。
テレビや、映画や舞台、音楽などにあんまり顧慮しない生活をしてきて
最近、倉本聰さんと知り合って以降、
その世界に惑溺するようになって、
多くの人が見知っている世界を、いまさらながら体験することが多い。
調べてみたら、「帰国」のテレビドラマ版では
長渕剛や、ビートたけしが役者として登場して演じていたのですね。
長渕さんは、こういう経験をしたことで、こういう楽曲を
着想し、書き上げたのでしょうね。

舞台では、ラストシーン近くで、
現代日本社会との邂逅を経て、南海のかれらの居場所に戻ったシーンがあり
海の底に戦闘機の残骸やらのなか、多くの遺骨が散在するそこに
舞台を飾った英霊たちが戻ってくるのです。
いまは、どくろの面になった旧日本軍兵士たちが
その時間経過を感じさせるような
スローモーションのような体動作を見せながら舞台一杯に登場し、
そして一転、観客に敬礼して旧日本軍人らしいきびきびとした動作に戻ったあと、
ふたたび、スローモーションのような動作に戻って
舞台奥にきびすを返していく。

そして、先述したように長渕剛さんの楽曲が流れる中、
多くの記録映像が流れていく。
神宮外苑だったのか、学徒出陣のシーンがひときわ鮮烈に脳裏に焼き付けられる。
このような死を死んだ、多くの日本人男子たちのことを
作家としての倉本聰さんは、
やはり日本人男子として、愛を込めて書き残しておきたかったのでしょうね。
舞台を見終わったあと、やはり残り続けるものがあって
それは、この「日本人男子であること」なのだろうかと思っています。
日本の歴史は、逃れがたく、この日本人男子の大量死を
生み出し続けてきた繰り返しなのか、という
そういう無念さであったりします。

<写真はわが家先祖が眠っている広島県の墓地>

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