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日本人と金閣

年末年始、北海道・札幌は比較的温暖でのどかな気候ですが
山陰や東北北部など、日本海側地域で雪や嵐の被害が続いているようですね。
とくに山陰での大雪で国道9号線、というから
地域で一番の幹線道路が通行できなくなっている!
ちょっとにわかには信じがたい状況のようです。
雪への対策が、あまりなされていなくて、
スタッドレスタイヤを履いていない大型車両が道路をふさいでしまったのでしょう。
北海道から行ってみて、本当に信じられないようなことが本州では起こります。
わたしも先年、郡山市周辺で年末時期にこういう事態に遭遇したことがあります。
ほんの少し雪が降って、寒波が急に来たとき、
道路のわずかな起伏坂道箇所で、動けなくなるクルマが続出する。
雪のある地方とない地方を移動する運送業などの場合も含めて
見なし装備で、「まぁ大丈夫だろう」という判断をするのですね。
本当にこの災難に巻き込まれたみなさんには、深く同情します。
難しいですよね、ほとんど雪が降らない地域での、雪道対策って。

なんですが、
一方で、「金閣寺に思わぬ降雪」というニュースも。
やはり好きなんですね日本人、金閣って。
みなさん、雪をかぶった金閣に率直に感激している。
単純に、日本的感受性に完全に刷り込まれてしまっている。
金箔で被覆するって、
たぶん、東大寺の大仏さんが日本での初めてのことだったのでしょうが、
その「民族体験」がはるかなモチーフになって金閣も
アジア世界との貿易のための象徴的な展示装置として作られたように思います。
大仏の金による被覆には奥州で発見された金が使用され、
日本の経済的潜在力を誇示する、格好の展示であると同時に、
当時のアジア世界での最先端思想であった
仏教による救世思想が、まことにわかりやすい形で具現化した。
この大仏開眼会には、アジア世界全域からの視察団が来ていたそうですから、
「黄金の国・ジパング」の大宣伝になった。
そういう民族体験が強烈だったのではないかと思います。
そういったアナロジーで、遙かな後代に建てられた金閣も
足利政権の信用力を高める効果があったに相違ない。
中国を中心にした世界貿易体制の中で
金による被覆建築というものは、日本を主張する大きな物理的印象になった。
金閣は義満の私邸ですが、住むためにこのような装飾をしたとは思えない。
たぶん経済効果、アジアから来たビジネスマンたちに
「あ、この貿易相手は信用できる」
と思わせるのが一番の目標だったのではないか、と思うワケです。
きっとそういうエコノミックアニマル(あ〜古い!懐かしい!)体質が
わたしたちにはきっとあるのでしょうね。

でもやっぱり金閣、美しい。
緑にも、水にも、陽光にも、雪にも、実に映える。
三島由紀夫が書いた日本的感受性そのものです。
建築的なプロポーションも、1階と2階での微妙な高さの違いとか、
金箔を施した階と、そうでない階のバランスとか
非常におもしろい意図を感じるのだそうであります。
日本人の黄金への感受性、もう少し、深く探ってみたいと思います。

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