人口減少期に入ったニッポン。
これからの国土をどう設計していくべきか、難問がたくさん控えている。
そのなかでも北海道地域は「課題の最先進地域」とまで言われている。
そういった側面を今回の北海道地震はみごとに照射させたともいえる。
先行する事例としては、JR北海道の経営困難という事態もある。
関東の倍以上の面積の地域で、人口は約1/5程度。
電力会社の売上で言ったら東電が6兆円の売上に対して
1/10にも満たない5,500億円ほどが北海道電力の売上とされている。
こういった条件から費用対効果はどうやっても良くない環境。
そこに少子化・高齢化の波が容赦なく押し寄せてくる。
たぶん加速度的に人口収縮がこれから起こってくることは自明。
安倍政権はなんとか全国のGDPを拡大させてきて、
人口減少社会でもニッポンの活力を維持しようとしてきたけれど、
今後また揺り戻しの政権ができることも考えられる。
そういった環境を勘案していけば
「収縮させる」未来像を予測しておく必要性は高い。
人口増加を前提としたインフラ基盤の拡大にはおのずと限界があり、
賢くたたむ、スマートシュリンクの考え方が導入されていく必然性がある。
人口動態を淵源にもつ事柄なので、
この流れ自体は抗うことができないでしょう。
ただし、このスマートシュリンクについて広範に論じることは、
なかなかにむずかしいだろうと思われます。
単純に言って、これまで電気や水道などの基本インフラは拡大し続けるという
そういった常識化のもとで社会は営まれてきた。
東大生から「どうしてこんな気候の厳しい北海道に住み続けるのですか」
という質問があったとお伝えしましたが、
その底意には、たぶんこうしたスマートシュリンクの考えがあることはわかる。
巨視的に見れば、明治以来、人口拡大基調での国策として
北海道の開拓・開発が国是とされてきたけれど、
人口減少期に差し掛かってきて、その基本インフラの限界策定局面になれば、
その考え方が180度方向転換せざるを得ないということだろうか。
JR北海道や北海道電力の危機は今後の社会変動の前触れなのかもしれない。
こういうインフラの縮小について
しかし社会合意はきわめて困難だろうことは明白。
少なくとも政治はサイレント政策でしかやりようがないだろう。
政治というのは人間の情動に大きく左右されるものだから、
痛みを強制するような不人気施策を堂々と謳えるわけがない。
そう考えれば、現状のままでの「放置」が至上の作戦かもしれない。
市場原理的に不整合な事業や企業の「自然淘汰」。
スマートシュリンクという日本の必然策はどう展開してくるのか、
リアルに見続けている必要があるのでしょうね。
Posted on 11月 7th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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