先般来、東大・前真之准教授の授業では
北海道全域ブラックアウトという過酷な現実を踏まえて、
「エネルギー×家」というテーマの追求が行われてきているようです。
日本の住宅は具体的にどういう「志向性」を持って作って行くべきか、
具体的な地域ごとの気候的条件設定をもとに学生さんたちが
あるべき住宅の方向性への「提案」を行って、
それに対して全国の現場の一線の住宅設計者が意見を添えるというカタチで
授業の進行が行われてきている。
前回の授業参加がきっかけでわたしどもにもこの推移をお知らせいただきました。
いまはすべてを読み込む時間的余裕がこちらになかなかないのですが、
それでもちらっと読んだ範囲でも、内容はなかなか刺激的であります。
工学というのは、いわゆる研究のための研究にはなりきれない領域。
つねに「いま、どうつくるか」ということが問われる。
とくに東大工学部という存在は、日本をどうつくるか、が、
先験的な大テーマとしてある存在なのだろうと思います。
現代社会が置かれている状況への基本的認識がまずあって、
それへの最適解に向かって身に付けた知見を具体的に活かしていく。
若い世代の人たちにとって、このような認識はごく自然にあるのでしょう。
そういった人たちになるべくリアルな状況を伝え続けることはオトナの責務。
一種の「世代間対話」の具体的なカタチでもあり、
わたし自身も若い人の意見を聞くことができて非常に勉強になります。
まずは「エネルギー×家」というテーマ設定が非常にイマドキ的慧眼。
学生さんからの具体的提案のなかに、響いたあるフレーズがあった。
「そもそもエネルギーを必要としないカタチ」というコトバ。
現代から未来へのひとつの「ものづくり」の基本的思想として
こと住宅領域が最大限に考えていかなければならないコトバですね。
もちろん建設から最終的廃棄にいたるまでの間で、エネルギーが必要とならない
そういうことは現実にはあり得ないけれど、
しかし、基本的志向性としてはまったく同意できる考え方。
そして人類的な根源的テーマと言えるでしょう。
そういう考え方でこのメンドイ北の大地での家づくりの方向性を
再計画して行く必要性はその通りだろうと思います。
時間を見つけてそれぞれの具体論をじっくり読み込みたいと思っています。
Posted on 11月 6th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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