今回出張では日曜日に青森に入って、青森県内を走っています。
青森という街は一時、コンパクトシティ志向の都市計画でやっていると
そのようにアナウンスされていましたが、JRの新幹線駅が結局は
在来の「青森駅」から離れた田園地帯に建てられて、
その後、この青森駅前の「1等地」の駅前ビルが買い手がつかないという
悲鳴のような中心街地下低落傾向が浮き彫りになっていた。
駅前の市が関与する商業ビルも慢性的な経営難とされてきた。
コンパクトシティというお題目はいいけれど、実態としては都市計画のビジョンが
希薄な状況に追い込まれていったのだと思います。
その間隙を縫うかのように、都市交通体系の大変革が高速道路によってもたらされた。
旧来の交通体系では、国道4号線と国道7号線が合流した大幹線道路が
すべての基幹交通幹線として大動脈だったのが、
この市域南部寄りの高速道路が、事実上取って変わるかのような勢い。
かく言うわたしも、国道の慢性的渋滞から青森へのアクセスでは
圧倒的に高速利用が多い。
で、こういったクルマ社会型の都市更新に敏感に反応するAEONが
広大な高速IC周辺の市内浜田地区を再開発してきた。
住宅関係でも、このAEON周辺にモデルハウス・住宅展示場が集中している。
地方中心都市の若い住民にとっては、
既得権益層を形成している旧来型「中心街」には、魅力が感じられず、
イマドキの擬制的な「最先端的」都市ライフスタイル機能を求めて
このような「新興シティ」の方に吸引されていく傾向が強いのだと思います。
そういった「新興シティ」では、ほぼ全国企業の「よく見る」ロゴ看板が立ち並ぶ。
独占的大資本ビジネスが大きな区画を占領して睥睨している。
中心都市とはいえ生活する人間意識は「地方」である見方からは、
こういうロゴ看板群の方が「地方老舗」を標榜する旧中心街区よりも洗練的と感じる。
いまの情報独占的資本主義では、こういう光景は地方を忘れられるイメージを持つ。
「鄙を忘れられる一瞬の<都>的光景」のパワーを感じられるのでしょう。
いまの消費者心理の奥底にこういうイメージは沈殿的に存在するのではないか。
たまたま都市全体を一気に俯瞰するように駆け歩いたので、
そのような光景を目の当たりにし、また気付かされた次第。
たまたま青森は、こういった体感が可能な都市サイズにあるのでしょうね。
住宅業界的に見ても、こういった市場心理というものがどう反映されるのか、
非常に興味深い部分だと思っています。
しかし、こういう新興シティの醸す雰囲気に若い世代が引き込まれている実態は
周辺にぴったりと張り付いている住宅企業群を見れば一目瞭然。
かれらのライフスタイルを想像すれば、土日に車利用でAEONに行き、
そこからほど近い場所立地の住宅展示場で住宅メーカーと打ち合わせる、
という行動パターンも透けて見えてくる。
現代社会のある種の典型的な表情をいまさらながら、強く印象させられた。
Posted on 10月 16th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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