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【北国の都市住宅 熟成のための緑計画は?】

きのうはアース21例会恒例のテーマ講演。
今回は「緑・植栽・ガーデニング」テーマで十勝地区での実践例を学習。
北海道では一般的にはなんとか住宅を建てるまでが精一杯で
冬期の積雪寒冷、暖房費用など維持経費上の問題の方が大きく、
なかなか「外構」まで予算を考えるゆとりがないとされてきた。
実際に北海道で戸建て住宅を維持管理するためには、
暖房費用は15-20万円程度負担が当然であり、
そこに重機除雪で運搬排雪を行えば1回5万円程度の費用が飛ぶ。
除排雪と「庭・植栽の維持管理」の相互関係の調整って、
「言うはやすく行うは難い」という典型。
大雪の年には家の敷地内での「堆雪スペース」維持はなかなかキビシイ。
とくに集住として「都市景観」が重視されるべき
名のある住宅地・高密度敷地地域でこそ、こうした問題が大きく立ちはだかる。
公共街路樹にしても大雪のときの除排雪も考えると維持管理の問題はやっかい。
10数年前の北海道では珍しい「台風被害」で道庁周辺の並木が倒壊したとき、
嘆かわしいけれど内心、厄介者が消えたと喜んだ公共職員心理も聞いた事がある。
せっかく外構・植栽しても、冬期の堆雪スペースとの兼ね合いが難しいのですね。
せっかく費用を掛けて植栽したのに、大雪で傷めてしまう心配もある。
そしてそもそも北海道の気候風土に似合う樹種などの知識が
本州地域ほどの常識普及がなく、枯らしてしまうことも多い。
北海道ではハナミズキなどは育ちがたく
類縁のヤマボウシしか育たないみたいな常識がまだ育っていない。
やはり他地域と比べての生活文化密度が150年ほどと
圧倒的に短いので、こういった部分の「積層」に乏しい。
そういったことで街並みに積層感がとぼしく、
本州地域の住宅地のような「重厚感・奥行き」が感じられない結果になる。

・・・まぁ、困難を挙げていったらキリがありませんね(笑)。
そう言われつつも、150年の積層が重なってきて
住む側の意識でも変化がようやく見られるようになって来ている。
とくに住宅の性能的飛躍が大いに進んできて、
暖房費などの冬の費用の低減化が実現するようになって
ようやく戸外の充実と言うことを考えられるようになって来たのかも知れません。
写真はわが家の27年前新築当時の様子。
「1本でもいいから木を植えましょう」と言われてシンボルツリーを植栽した。
義父が造園業を営んでいたので、すばらしい明月楓を植えてもらった。
北入りの狭小敷地という条件に、ギリギリの植栽だった。
この風情を数年は楽しむことができたけれど、
やがて増築せざるを得なくなり、このシンボルツリーも諦めた。
そういった「職住一体」という兼用住宅の絶対的条件変化は避けられない。
けれど、やはりこういうシンボルツリー体験は、
「戸建て住宅」という文化を体験するのに大いに意味があった。
なにより高断熱高気密住宅になると、外気気候が室内からは感受しにくい。
それに対して外構植栽は、明瞭な気候条件を視覚的に伝えてくれる。
そのように「見続ける」ことで暮らしの起承転結の彩りが生まれ、
日本人的な「花鳥風月」意識が自然に体感できていく。
北国らしい困難はあるけれど、克服する方向性も明瞭になってきた。
これからの世代に、この地にいい住環境を遺していくためにも、
北海道らしい都市の緑環境を作っていかなければならないと思いますね。

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