今回のきた住まいる南幌は、全国的にも大きな話題になっています。
7月には全国各地から建築関係者100名規模で大挙見学に来られるとか、
また新住協でも見学会が予定されているようです。
全国的なプロのみなさんからの住宅性能への関心の高まりを受けて、
各地で北海道のいまの住宅の状況について知りたいという欲求が高まっている。
ただ、イマドキの北海道はそういった本州地区の動向とはやや違いがある。
ドイツ式パッシブハウスの認証などへの無関心は北海道で顕著であり、
またZEHなどの国の施策についても、対応は全国最低レベル。
高断熱高気密などの技術要素はその拡散起動時点では
上記のようなことへの関心が高まるのでしょうが、
すでに初期からは世代的にも更新してきていて、住宅への関心レベルは
ユーザー的にも次のステージに移ってきているように感じます。
暖かさなどの基本性能では「ほぼ考えなくても良い」レベルが一般住宅で
実現してきていて、各企業としても競争優位要素にはなりにくい。
高断熱高気密住宅が常識の地域では、どういった発展要素があるのか、
テーマはそういうことになっていくし、その胎動が今回の南幌では顕著。
数値的な高断熱高気密だけではなく、いごこち、住みごこちの高性能化が
いろんなファクターを通して追究されていると思います。
そういった市場動向の中で「平屋」デザインで人気の設計者・小倉寬征さんと
よくペアリングしているキクザワさんのコラボ物件。
平屋というスタイルは、北海道のような土地にゆとりのある地域で、
なお少人数家族というケースではきわめて有用な設計手法だと思われます。
少子化という背景の中で、若い年代には平屋再評価が進んできている。
このコラボでは最近、千歳市内でコートハウス型の平屋物件があったのですが、
今回は、また違った直線的平面計画での取り組み。以下がコンセプト。
●オープン×クローズ「大きな屋根の小さな家」
南東角地にカーポートを備えた約100㎡の木造平屋。大きな屋根に
3つの小さな家的空間を配置し、屋内外を一体とさせることにより、
これからの田園ライフを提案。・・・というもの。
この家では玄関側から室内ではまっすぐに長い見通しが効いている。
平屋というと、平面計画はコンパクトというイメージが強いけれど、
いきなり「長い距離を歩く」室内空間を実現しています。
上下運動がなくフラットななかで動き回る仕掛けが込められている。
わたしも思わず吸い込まれるように一番奥まで行ってしまった。
こういう単純な間取り構成なのに、空間にふくらみが感じられる。
それは都合4箇所のウッドデッキスペースのせいだと気付きます。
さすがに南幌では敷地にもゆとりがあり、開放的な暮らしが実現できる。
オープンとクローズが融通無碍に行き来する暮らしようが見えてきます。
そういえば平屋って住む人はきわめてアクティブになれますね、
わたし自身、強く実感しているところでもあります。
いかにも北海道・南幌的ないごこち・住みごこちの提案だと思いました。
Posted on 6月 11th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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