全国から注目される「北海道のイマドキ」という住宅展示に
図らずもなった今回の「きた住まいるin南幌」ですが、
わたしたち北海道の人間にとっても久しぶりの地域総力的展示。
わが社がスタートしたころ、同時期に「美しが丘」という地域で
清水建設さんが広大な土地を販売するために、
建築家による「建て売り」という試みを行ったことがあります。
ふつうは手慣れた大手ハウスメーカー主体というのが全国の常識ですが、
圓山彬雄、倉本龍彦といった建築家たちがいくつかの住宅を建て、
そこから興味を持った建て主さんと家づくりを始めるという展開。
今回の南幌のような建築家の関与する家づくりとしては、
先導的な企画だったように思います。
しかし今回は、主導的な動きをしたのが北海道建設部建築指導課であり、
その提唱する家づくりの制度的指標をアピールするという
地域をあげたイベントであるという意味では、まことに画期的。
いちばん着目すべきなのは、地方公共団体自身がこういう企画を立て
それに作り手が積極的に関与するという地域の独自性でしょう。
北海道の住宅施策としては「北方型住宅」という
地域オリジナルの住宅性能基準を制定し、その普及を促進するという
方向性が長く続いてきたのですが、
そこからさらに一歩進んで、協働する地域の作り手、
工務店や設計事務所などの家づくりを支援するという方向性に
大きく進化してきたといえるでしょう。
こういった施策はその中身、参加主体でも地域らしさとして強く訴求している。
有力地域工務店と建築家グループがこの企画の参加主体であるという
わかりやすい地域「住宅運動」の意味合いは決して小さいものではない。
北海道らしい地域としての「住環境へのフロンティア精神」を感じます。
そういった地域の家づくりとともに、
この家々の空間密度をさらに高めているのが、道内作家による家具展示。
写真は上がブロックの家でのTHREEKさん、
下は平屋の家での高橋三太郎さん作品のそれぞれの展示。
基本的には地域の材料を活かし、地域の人間の手業で空間を彩っている。
北海道らしいライフスタイルへの共感をベースにした
作り手たちのコラボレーションによる「空気感」はなかなか密度が高い。
上の写真では、北国住宅らしいブロックの家での
日々の食卓テーブルの「雰囲気の底力」を感じさせられるし、
下の写真では、薪ストーブ回りのでいごこち品質というものの
北海道的共感力がハンパないと思われました。
ディテールまで地域らしさがあり、北海道っぽい空間構成だと思います。
多くのみなさんにそういった空気感も大いに感じて欲しいですね。
Posted on 6月 12th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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