みなさん、石山軟石ってご存知でしょうか?
北海道開拓初期、北米から多くの「建築技師」さんたちが
北都としての新都市・札幌のまちづくりのために活躍していました。
そうしたかれらの「石造建築技術」を支える素材として、
札幌南部地域の山地から切り出されて利用されたのが、
「石山軟石」と呼ばれるものです。札幌軟石とも呼ばれますね。
わたしは3才から札幌暮らしですが、家の目の前には「石山通り」があった。
札幌南部の「石山」から切り出された石が馬車に積まれて、
この道を通って札幌に運び込まれてきたのですね。
馬車を使って往来したので、馬糞風が舞っていたもといわれる(笑)。
そもそも石山軟石とは、4万年前に起こった支笏カルデラ噴火で、
発生した大規模火砕流が札幌南部まで到達した。
この火砕流噴出物が高速で流下し固結した「支笏溶結凝灰岩」が正体。
採掘開始は明治7年ころからで軟らかくて石材として加工しやすいので
建築資材として盛んに使われました。
その防火性能に着目して、北海道開拓使も推奨したとされます。
現在遺っている建築では、中央区大通13丁目の札幌資料館がある。
こういった歴史経緯からして、コンクリートブロックもまた、
支笏湖周辺の火山灰を利用して石化させたものであり、
いまに至る、北海道・札幌の独自の建築文化を形成した
いわばマザー、ルーツのような存在だと思っています。
今回のリノベーション工事の大きな狙いとして
「捨てる文化から、活かす文化へ」というテーマがあります。
コンクリートブロック建築を将来的にも残し、利用して行くことで、
開拓期からの先人の営為を「活かして」行きたいと考えた次第。
そういうことから、この写真の札幌市南区常盤の辻石材さんの
採掘現場を下見してきた次第です。
常磐って、コトバの語感からもいかにもなにかが伝わってきますね。
まぁ本当に山全体が「石山」そのものであります(笑)。
切り出す石は、ごらんのような規則的な切断方法でして、
そのまま建築資材として利用可能なように、
1枚あたり、厚さ100×長辺930×短辺420程度に規格化されています。
軟石そのものは軟らかいので、割れやすいという特徴がある。
この写真でも幾筋か、自然的な割れも見えている。
本当はきのう行ってきてすぐに入手しようとも考えていたのですが、
この規格品1枚あたりでも50-60kg程度とのことで、
さらに、背広を着込んでいったのですが、
「ボロボロになりますよ(笑)」という、案内してくれた村井さんの言葉に従って
日を改めることにした次第です(笑)。
こういった「活かす文化」を探る試み、例の「蓄熱暖房機」でも
あるプロジェクトが進行中。来週初めにその急展開もありそう。
いずれにしても、乞うご期待であります(笑)。
Posted on 5月 11th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備
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