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【武骨・簡素なパッシブ 西方里見自邸 1】

一昨日は新住協の札幌例会で秋田の西方設計・西方里見さんの講演。
取り急ぎ、その様子をお伝えしましたが、
その講演pptが資料配付されていて、明瞭にまとめられていたので、
スキャンして、その骨格を見ておりました。
住宅設計での基本的なスタンスで共感できる部分が多かったので、
いくつかのポイントを、ご紹介します。
まずは、窓の考え方が一番最初に出てきていました。
窓というのは、環境との応答という意味ではもっとも基本的な部分。
それこそ環境を考えて家を作るというときに、
その敷地条件を勘案して最適な方向に対して、最適な開口を取る、
もっとも始原的な「考えるべき」ポイントでしょう。
パッシブという自然の法則にもっとも自然に応答する考え方は
すべての源である太陽光に対して、率直であること。
難波和彦さんの「箱の家」シリーズもしかりだと思いますが、
西方さんの流儀には、高断熱高気密の考え方が貫徹されていて、
まことに率直な作られようになっている。
こういったいわば明瞭な北方型パッシブというようなタイプの設計は
北海道の山本亜耕さんなどにも共通する考え方だと思います。
この窓の性能を考えるについて、その熱損失と日射取得のバランスを
その選択ポイントとして最大に考えられていた。
太陽の日射は、その住宅の建てられる土地、敷地によって、
考えるポイントが微妙に変化していく。
まずは外気温条件がどうであるか、太陽光角度などの条件は
それによって大きく変化していく部分でしょう。
さらに季節変化に応じて、日射量を制御する必要性もある。
この自邸では、ドイツ製の外部ブラインドが利用されていた。
比較的に軒の出は少ないけれど、この外部ブラインドで制御すると。
このブラインドはおおむね100万円。
角度調整は、自邸なので毎日の気象条件変化に即して
自分でコントロールするということだそうです。
たしかにそういう自然との基本的な応答関係を想像すると、
それこそパッシブな暮らし方が息づいてくる気がします。

そして既存の流通サッシでは間尺にあわないと判断すると、
ガラスを直輸入し、枠については町場のサッシ屋さんに加工を依頼して
いわばOEM的に「作る」ということにも挑戦している。
アルミ枠をも輸入して、その内部に断熱材も封入させて、
オリジナルの窓も造作しているのだということ。
その建てられる敷地の設計与条件と応答していくのに
その最適解を抽出して、そのために必要な性能値を目指しての
こういった設計プロセス。
不可視だけれども、現実に存在する気象や熱環境に応答した設計作業。
武骨・簡素なパッシブというようにも思わされた次第です。

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