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【宗教建築に刷り込まれる地域文化認識】

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上の写真は札幌市の中心街にある日本キリスト教団札幌教会です。
明治時代に建てられた教会堂。1998年に国の登録有形文化財に登録された。
北海道庁の土木科に勤務し、教会の信者だった間山千代勝が設計を行い、
1904年に建てられたので築112年。建材には当時札幌市で採石された
札幌軟石が使用されており、教会堂の外壁に特徴がみられる。
当初は木造の建物だったが、火災に遭ったことから石造りが志向されたよう。
デザインについてはロマネスク様式を基調とする。加えて、アーチ型の開口部分、
頭頂部に設置された十字架、バラ窓など細部に特徴のある造りは、
ゴシック風のデザインを思わせる。〜というのが特徴です。
それぞれ好みはあるでしょうが、エトランゼのみなさんがこの建物を見ると
たぶん「北海道的」ということを感じられると思われます。
ただ、まだ時間経過は112年と言うことで、地元的評価もまだ定まっていないか。
たしかに「特徴的」ではあるけれど、愛着的かどうかは不明。

こういう建物に対して、同様に宗教的建築として、
たぶん創建当時「異国的」であったに相違ないと思われる奈良の春日大社。
下の写真です。高校時代の修学旅行では行ったように思うけど・・・。
奈良という人工的都は、当時の東アジアを中心とした世界感覚が
そのまま表されたに違いない極彩色的なコテコテぶり。
春日大社(かすがたいしゃ)は、中臣氏(のちの藤原氏)の氏神を祀るために
768年に創設された奈良県奈良市にある神社。
国宝であると同時に、世界遺産にも登録されている民族的資産。
こっちは1250年くらいの時間経過があるので、
日本的文化のひとつとして認識されていると言えるでしょう。

最近この2棟の建物を短期間に見ておりました。
いろいろな地域でマーケティング活動をしていると、
それぞれの地域の市場の「特徴」について考えざるを得ない。
奈良についてそんなことまで考えているわけではないけれど、
日本的時間感覚と北海道との違い、その北海道によって多く育まれた自らを
よく認識するためには、その相違についてわきまえるべきものがある。
こういった目に見えて実感できる「文化的相違」を、そこに住む人間として
肯定的に受け入れるか、否定的であるかは別にして
「地域性」の根源要素として、計量していくべき文化性であると思います。
北海道に暮らす人間として、道庁赤煉瓦庁舎やこうした建築などを見て育って、
「石造」に対してのある種の「ノスタルジー」はやはりどこかにはありますね。
そんなことをも日々、マーケティング的に考えざるを得ません。

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