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ニッポン魅力再発見のミニマリズム

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資本主義は冷戦解消後、大きくその市場と参加プレーヤーを拡大させた。
欧米がはじめた現代的な消費ライフスタイルが生み出す市場は
冷戦終結以前に比較して格段に大きくなった。
あらたな市場参加者とその国・社会では「成長」が実現するけれど、
しかし一方で、すでにその段階に入った国・社会では
成長は鈍化せざるを得ない。
新しい市場機会というのは、そう簡単には出現してこない。
そんな日本にいま、顕著な動きとして、
円安を背景に、旺盛な観光客需要、いわゆるインバウンド需要が
大きくなって来ている。
日本人は経済成長を達成しても、あんまり海外旅行とかは
志向が向かわなかったけれど、中国やアジアなどの社会では
旺盛に海外観光需要が強まっていくのですね。
そういう受け皿として、日本社会は適性があると判断されている。

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そういった需要を,建築側で受け止めるとすれば、
どんなマーケットになっていくのだろうか。
いま徐々に出てきているのは、こうした観光客に対して、
もっと格安なサービスを提供できないか、ということ。
先日取材してきた、東京都心の古いビルの再活用などは、
こういった需要に対して応えうる建築側の動きと言えるのでしょう。
そういった需要に対応させるとすれば、どんなデザイン手法が効果的か、
そんな試行の結果、いま、ミニマリズムが注目されている。
そんなふうに思います。
古いビルをその素材に還元させて、いわばリデザインの
有効な手法として、ミニマリズムを使っている。
で、考えてみると日本には、こういうミニマリズムデザインの系譜って
豊かに存在しているのではないかと思います。
中世末期、戦国期から江戸期に掛けての社会で
豊かに育まれた茶道の「侘び寂」などに体系化されたような
そういった精神文化を持っている。
高度成長期に建てられた建築を、その価値を再発見して
どんなふうにデザインとして再活用することが可能なのか、
そういった分野で、これから想像力が試されていくのではないか。
日本社会の蓄積されてきた資産を、再活用できる想像力というのが、
実はいちばん新しいニッポンの可能性ではないでしょうか。

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