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書斎を充実させる

1710

わたしは、あんまり住宅についての「こうしたい」ということ
欲望のようなものがやや希薄になってきています。
やっぱり家は本来的には、DNA的に子孫の保護育成ということが
もっとも大きなことなのではないかと思う次第。
先日も、パッシブ的な志向性を持った住宅の建て主さんと話していて
どうも「断捨離」的な、シンプル志向というのが、
現代人の住宅に対する志向性ではないかと思われたりもしています。
最近のいわゆる「モダンデザイン」って、
コルビジェさんのような近代科学精神、合理精神の発露というよりは
むしろ、兼行法師さんのような心境、
いや、鴨長明の方丈記のような、そういった簡潔さに憧れる心理を感じる。

そんな心理にも通ずるような感覚がありまして、
たとえば食についても、カミさんのダイエットという事情もあるのですが、
ほとんど欲を断つ、というような趣向傾向にあり、
着るものは、着飾るというような心境には到底なく、
っていうような生活心理に至っております。
なにやら、近々、仙人生活にでも移行しそうなシンプルぶりなのです(笑)。
まぁ、おおむねの中高年というのはそんなものなのでしょうが、
わたしの場合、ようやくそんな心理が近づいてきた感じ。
なんですが、
一方で、事務所兼用住宅のなごりとしての広大な事務所スペースを
最近、楽しみながら整理整頓をしつづけています。
個人的な趣味生活を明瞭に表し、
忙しくてまだまだ読破していない本の背表紙をみつめている(笑)。
「あぁ、この本も、この本も、まだ読んでいないなぁ・・・」
とためいきしながら、でもかえって楽しめるのですね。
ヘンな心境に陥っているものと呆れますが、
でも、やっぱり環境を整えていくというのが、
そういう自分の理想に近づく一番の道であるともわかっているのですね。
人間、かたちから入っていくというスタイルも絶対にある。
建築はそれを使う人の「用を満たす」ものであるのは論を待たないけれど、
一方で、こうなりたいというかたちを実現することで
「こころざし」を実現も出来る。
そのように自分を持って行くということも言えると思います。
やむなく広大である自分だけの城空間を
徐々に、想像力を盛り上げる場所に仕立てていきたい。
アナログとデジタルの混淆林のような現代の「書斎空間」について
いろいろ挑戦的に空間想像力を掻き立てたいと
試行錯誤しています。
考えてみると、個室をはじめて持った15歳くらいの頃から
ずっと、自分だけの空間、というものはどうあればいいか、
考え続けてきたとも思う。
むかし、日本人は鶏小屋に住んでいると欧米から批判されていましたが、
たぶんいまや、日本人は人口減少もあって
寒々しい大空間に、小家族あるいは、孤独に住んでいる。
あ、わが家はそこまで寒くはありませんが(笑)、
こういう状況の中で、小さな生きていく幸せのかたちを考えても見たい。
そんなドンキホーテのような気力をたぎらせています(笑)。

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