ベトナムでは、西沙諸島での中国との緊張の高まりから
中国大使館への抗議デモが行われ、
共産党一党支配体制のもと、対中の憤激が高まってきているようだ。
一方、中国共産党の機関誌では、「大国・小国」というあからさまな言いようで
露骨にベトナムを威嚇するような内容の記事を掲載しているという。
「170回以上ベトナム側が船をぶつけてきた」という
中国側のプロパガンダに対抗してベトナム側は、
ベトナム船に中国の船舶が明確に激突攻撃を仕掛けてきている映像を
世界のメディアに配布しているという。
こういった状況が膠着していて、
中国も、予想以上の「小国」ベトナムの強い抵抗に手を焼いている。
なんでも、中越間では外相同士の話し合いで
「平和的な話し合いで解決させましょう」と合意したばかりのタイミングだそうで、
中国としては、この時期ならば、やってしまおうと考えたらしい。
恐るべき「外交感覚」だと言わざるを得ない。
また、公然と自国が「大国だ」と公言する態度は、嫌中感情を
周辺国家国民に根強く染みこませることだと言うことを理解できず、
外交的な平和国家の感覚をもっていないことを明示している。
しかし、中国はこの事態をどのように収束させるのか、
いま、中越両国は水面下で殴り合いと話し合いの両方をやっているのだろうけれど、
「大国」中国は、国内問題のはけ口として、
このような侵略的な海洋進出の方向を進めていこうとしているのだとすれば、
収束の方向性はなかなか見出しにくいかも知れない。
国際社会の関心や発言も週末ということもあるのか、
まだアメリカ・日本以外からは聞こえてこない。
ヨーロッパ各国がどのように対応してくるのかを知りたいと思っているのだが
いまのところ、声は届いてこないし、
また、国連もアクションはないようだ。
こういう事態は、日中でも東シナ海・尖閣で起こりうる。
相手が法治国家ではない以上、
日本もある程度は、非常時に備える必要がある。
本当に武力での尖閣奪取と言うことを中国が仕掛けてきたら、
いったいどうなるか。あの岩礁の帰趨は大した問題ではない。
むしろ一番恐ろしいのは、日本が国を挙げて世論が沸騰することで、
アジア世界にとって、本当に困るのは日本が本格的に
「普通の国」としてふるまうことにあるのだと思う。
くれぐれも事態が深刻化しないように願いたいが、
しかし、現中国の指導部のありようを見ていると、
どうにも危うさが高まっているように思う。
ベトナムは、かなりの強腰で出てきている。
一方で、中国も国内世論的に柔軟路線は取りにくい可能性が高い。
というか、周辺国は強腰で出れば引いてくれるだろうと
小児病的に考えているような節が濃厚だと思う。
どうもあまり楽観はできないと思う次第です。
<写真は無関係・甘党の手作りおやつ、カボチャのアズキ粒あんかけ>
Posted on 5月 11th, 2014 by 三木 奎吾
Filed under: 状況・政治への発言
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