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車庫と街並み景観

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北海道のような積雪寒冷地では
街並み景観の維持というのは、なかなか難しさがある。
本州温暖地域と違って、冬には積雪するので、
そういった「残余」のスペースを確保しておかなければならないので、
どうしても「間延び」した印象になってしまう。

で、車庫の問題であります。
車庫って、建物と一体にしてデザインしないと、
街並みの中での調和って、大変難しい。
独立的な、それこそ「物置」みたいな箱がどんと存在すると、
それひとつで、街並みもなにもすべてどっかに飛んで行ってしまう。
写真はきのう見学していた北海道旭川地域の住宅です。
この家では敷地が80坪ほどあって、
このように建物本体と一体となったカーポートがデザインされていて
たいへん調和が取れていて、
街に対して表情を持ったたたずまいが演出されている。
こういうことが可能なのは、容積率や建蔽率、建築面積といった法規に対して
敷地がゆとりがあるから。
北海道でも札幌など、敷地が50〜60坪と狭小化してくると、
法規に整合性を取れなくなって一体型のカーポートを造作することは難しい。
一方で、「ハコ」だけのカーポートは、
勝手に「置くだけ」ということなので、
なんの制限も規制もなく、自由に設置することが出来る。
結果として、街並み景観はその「自由なひとり、一個人の勝手」で
「あれでもいいんなら、なんも我慢しなくていいだろう」という
われもわれも状態を呼んで、メチャクチャな「街並み」が出来上がる。
出来上がってから、今度は「街並みが美しくない、なげかわしい」とか、
行政の側から、指導的な介入が行われてきたりする。

要するに、街並み景観の美感向上を考えるのなら、
そのような「ハコ」だけカーポートに
ユーザーが走らないような法体系にしなければならない。
街並み保全、美感向上のためには、
建物と一体となったデザイン的に統一されたカーポートについては
上記のような建築的規制を緩和すればいい。
わが家でも、雪の問題があるし、本当は構築的なカーポートを造作したい。
しかし、敷地面積に限りがあって、適法的にはできない。
やむなく青空駐車にする、
あとはロードヒーティングに頼るしかなくなる。
実際わが家では高齢化をにらんで、
新築時からロードヒーティングを敷設したけれど、
やはり地球を温暖化させるだけにしかならないので、
出来れば止めたくなるところに、石油価格の急上昇もあって、止めた。
デザイン統一された造作カーポートが一番の積雪対策になるのだけれど、
現状では、法規制がクリアできない、というジレンマなのです。
そうであるのに、ときどき行政サイドから、
「街並み景観」シンポジウムみたいなのに招かれたりもする。
まったくバカバカしいなぁと思っている次第です。
札幌の市長さん、やや尻切れトンボ的ながら
エコにずいぶん力を入れているようですが、
こういったすぐにでも可能な景観向上のための
雪国の大都会としての美感向上「特区」申請などに
知恵を絞り、ぜひ取り組んでいただきたいと思う次第であります。
札幌型次世代住宅みたいな、ザルのような取り組みよりも、
確実に札幌の街並みが美しくなる施策を一つでもやってほしい。
切にお願いしたいと思います。

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