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建築家展_4 手描き図面

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さて、建築家展での展示から。
写真は、わが社屋を設計してもらった圓山彬雄JIA北海道支部長の手描き図面。
以前、所員の方から「圓山の手描きスケッチって、いいんですよ」
っていう言葉を聞いたことがあります。
圓山さんはわたしよりも年上ですので、
建築家として仕事をしていくのに、
コンピューターCADが登場する以前からやっていたわけで、
当然、図面を手描きで描いていた時代の方。
なので、独特のペン使いの味わいとか、線画の美しさのような
そういう雰囲気が感じられるものです。
考えてみれば、もうこういう味わいに接すると言うことは少なくなっていく。
じっと、この図面を見入っていると、
やはりコンピュータが描く線とはまったく違って、
この造形した空間に対する思い入れのようなもの、
あるいは、愛着にも似た心遣いの細やかさの部分が感じられます。
このように額に納められ、ピンナップされて展示されると、
まるで、一幅の書画にも匹敵するような魅力が漂ってくると思います。
直線を太く引いたりしているところなど、
建築家のクセのような、緩やかな曲線の感じもみられ、
ちょうど、書の「はね」や、「とめ」のような風合いが滲む。
いかにも、「人間が描きました」というようなメッセージが伝わってくる。
絵とは違って、対象が明確に建築材料を使っての
「意思を伝達する」力強さに満ちていて、
これ自体はプロセスのものではあるのだけれど、
だからこそ、かえって、体言止めのような潔い簡潔さを表現している。
まぁ、わたしの場合には圓山さんの人となりにも接しているわけで、
そんな印象も加わっていると思われるのですが、
こういうメッセージ力というのも、建築家の魅力なのでしょうね。
通常の美術の展覧会には感じることができない
今回の建築家展で発見できた、ひとつの魅力ではあります。
そして、こういうプロセスを経て、
しかし、最終的には仕上がっていく住宅建築によってだけ、
社会の中での自らの評価を受け止めるわけなのですね。
建築というものと、いわゆる美術との同質性と、違いを
どちらも感じさせてくれるような展示だったと思います。
みなさん、いかがでしょうね。

One Response to “建築家展_4 手描き図面”

  1. j-sense札幌の丸谷と申します。
    10日に豊嶋さんのご案内で展覧会を見に行きます。
    また、11日には武部さんのN邸を見学します。
    共通の話題が多いのでビックリしています。
    こちらのブログを主宰していらっしゃる方はどなたなのでしょうか。
    失礼ながらメールさせて頂きました。
    丸谷のブログhttp://maruya.exblog.jp

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