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博物館の魅力

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わたし、上野の国立博物館が大好きであります。
大体、特別催事はチェックしていまして、
これは、と思える企画については見学を欠かしておりません。
まぁ密かな趣味生活、というか、
生きていく上で欠かせない知的エッセンスを受け取る機会だと思っております。
できれば札幌に移転して欲しいと思っていますが(笑)、
まぁこういう施設が東京にあるのは、やむを得ないでしょうね。
定期的に東京の空気を吸っておく、ということも
現代の経営者としては必須だとも思っているので、
いい趣味ではないかとも思っている次第(笑)。

日本人は、真善美という価値観の中で、長く、というか明治以来、
美術がもっとも価値が高いというように信じてきたように思います。
なんといっても西洋美術が最高の「芸術表現」であるという刷り込みが
一貫して為されてきた。
博物館と言うよりも、やはり美術館という志向性が高かったと思います。
しかし、当然ですが美術というのは、人間が行ってきた営為のごく一部にすぎない。
美術だけではなく、もっと幅広い活動が人間の本然である、
という意味では、やはり博物館の方が幅広く感受性を刺激してくれる。
博物という概念は、非常に幅広く人間活動の全域にわたっていくので、
より自由に、知的好奇心が躍動する感じがある。
わたしは、ある種のジャーナリズムが職業であるので、
そういう意味では、空間ではなく、
時間を超えた「取材活動」ともいえるのだと思っています。
で、博物館という施設の展示企画を検討するみなさんの仕事って
まことに面白そうだなと思う次第です。
まぁ、こういうのは一種の「波長」のようなもので、
わたしの場合、上野の博物館とは知的好奇心が合っているなと、思う次第。
今回の「大神社展」は、出雲や伊勢という神社での
「式年遷宮」という年に当たっていることが契機になっているそうですが、
まことにタイミングもいいと思いました。
ただし、出雲の協力は得られていないのかも知れません。
出雲はその成立からして、大和朝廷とは違う出自を感じさせ、
いまでも、皇室が訪れても本殿には入れないのだと聞きました。
神社というと、国粋主義的な戦前的価値観がクローズアップされがちですが、
むしろ出雲も含めた広がりで考えると、
その民族としての精神的資産価値はまことに深く面白い。
日本には、世界宗教の受容としての仏教文化がありますが、
こちらも、何度もその文化が権力側から全否定されてきて歴史的継続性が薄い
中国などと比較して、むしろ本家に近いような宗教文化になっている。
そして、それとはまったく別にながく民族の尊崇を集め続けた
この神社文化って、やはり日本であることのなにごとかを表していると思います。
そういう意味でも、まさに「博物」ということにふさわしい。
すばらしい展示企画だったと思います。
そして見学しながらときどき、まわりの会話を側聞するのも楽しい。
今回は、相当にお金持ちと思われる女性たちのふとした会話で
仰天するような趣味生活の私的な企画の相談がされていることを
小耳にはさんだりしました。
すごい、自由で広大無辺なひとびともいるなぁという驚きも得られます(笑)。
いろいろな意味で、国立博物館って、面白いですよ。

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